研究課題
2014年度のNCD(National Clinical Database)乳癌登録症例数は,79,422例であり,本邦推定罹患数の90%以上のカバー率を達成した.さらに, 2015年からNCDプラットフォームを使って予後情報の収集を開始した.2016年3月31日時点での予後データ入力率は20%を下回っており,Web上での自施設の予後入力率の表示や,メール,Web上での周知を行っている.また,2004,2005,2006年の予後データの解析をそれぞれ論文として発表した.予後情報を用いた日本版,予後予測ツールの開発については,2016年度に過去データを使って予備的検討を開始した.本邦における検診発見乳癌の特徴,Body Mass Indexの予後に及ぼす影響,術前化学療法前後のホルモン受容体,HER2蛋白発現状況などの解析を行い論文化した.Quality Indicator(診療の質の指標)の評価については,乳癌診療ガイドラインに基づいて6項目のQIを設定し,NCDプラットフォームを使って施設ごとのQI実施率を解析し,各施設にQI実施率をフィードバックした.とくに,乳房温存術後の残存乳腺への放射線療法や腋窩リンパ節転移が4個以上の乳房切除術後の胸壁および鎖骨上リンパ節への放射線療法の実施率について,学会認定施設,がん拠点病院などの施設間で比較検討した.その結果,非認定施設,非拠点病院で実施率が低いことが示された.
2: おおむね順調に進展している
2014年度のNCD(National Clinical Database)乳癌登録症例数は,79,422例であり,本邦推定罹患数の90%以上のカバー率を達成した.乳癌登録症例の予後情報を NCDを介して取得するシステムの構築については,2015年度からNCDプラットフォームを使って予後情報の収集を開始したが,2016年3月31日時点での予後データ入力率は20%を下回っていた.データセンターと登録施設間の情報交換をUSBやハードディスクを用いて行うNCD移行以前の登録システムでは,約50%の入力率であった.その時期の予後データを用いて解析した成果を今年度に論文化した.本邦の乳癌の特徴をビッグデータにより初めて評価したものである.予後データの質を担保するためには,データ入力率の向上は,必須である.そこで,Web上での自施設の予後入力率の表示や,メール,Web上での周知を開始している.Quality Indicator(診療の質の指標)の評価については,診療ガイドラインをもとにQIを設定し,NCDプラットフォームを使って施設ごとのQI実施率を解析した.各施設にQI実施率データのフィードバックを開始した.NCD乳癌登録システムでは,随時修正入力が可能となっており,QI実施率のフィードバックにより,入力精度の向上も期待できる.その後,QI実施率と予後の関連を評価する予定である.
予後データの質を担保するため,入力率の向上が必須であり,今後,施設ごとの予後入力率の表示や,メール,Web上での周知により入力率の向上を推進している.また,学会認定施設基準にも予後入力率を採用する方針となっている.予後以外の項目についても,精度の担保が必要であり,QI実施率のフィードバック,修正入力の推進,学会認定専門医制度委員会との合同監査などにより,精度の向上を計画している.
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 7件)
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