研究課題/領域番号 |
15H04797
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
猩々 英紀 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60284626)
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研究分担者 |
馬淵 正 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80150308)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳虚血 / ミトコンドリア / 生活反応 |
研究実績の概要 |
本研究では脳虚血に伴うミトコンドリアの形態変化と脳機能との関係を調べ、その病態を解明する事でミトコンドリアの生活反応を指標とした新規法医脳機能診断法を開発する事を目指している。従って、本研究では生前のミトコンドリアの形態変化がその機能を反映する事を実験的に証明し、その後、その機能が死後の形態変化としてどのように保存されているのかを解析する必要がある。そこで、当該年度は高分解能蛍光顕微鏡DeltaVisionを用いた3次元画像解析により、生理的条件下でのミトコンドリアの形態変化を経時的に検討した。また、生理的条件下での細胞及びミトコンドリアの活性を経時的に調べた。さらに、ミトコンドリア内で蛍光蛋白質遺伝子を一過性及び恒常的に発現させたヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yの作製を行った。 ・ラット大脳皮質神経細胞の作製:ラット胎仔E17大脳皮質をTypsin-EDTAで処理し細胞を単離後、培養容器に移してCO2インキュベータ内で2週間培養後、実験に使用した。 ・ラット大脳皮質神経細胞のミトコンドリア及び細胞機能:生理的条件下において、ミトコンドリア及び細胞機能の変化を経時的に調べた。測定時間内でミトコンドリア活性及び呼吸活性に変化は認められなかった。 ・ラット大脳皮質神経細胞のミトコンドリアの形態:ミトコンドリア特異的蛍光試薬を用いてミトコンドリアの形態を観察した。ミトコンドリアは絶えず分裂と融合を繰り返し、測定時間内において形態異常は認められなかった。 ・蛍光蛋白質遺伝子発現細胞:ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yを用いて、ミトコンドリア内で蛍光蛋白質遺伝子を一過性及び恒常的に発現させた細胞を作製した。一過性発現細胞では形態異常は認められなかったものの、恒常的に発現させた細胞では明らかな細胞及びミトコンドリアの形態異常が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高分解能蛍光顕微鏡DeltaVision用恒温装置の納品が遅れたため、生理的条件下でのミトコンドリアの形態変化の検討に遅延が生じた。しかし、次年度に予定していた解析条件の検討など実験の一部を前倒して行ったため研究期間を通じて、ほぼ計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
脳虚血に伴うミトコンドリアの形態変化と脳機能との関係を調べるために、虚血処理(Oxygen-glucose deprivation: OGD処理)神経細胞を作製し、上記生理的条件下のミトコンドリアの形態と機能変化について比較検討する。 ・OGD処理ラット大脳皮質神経細胞及びヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yのミトコンドリアの形態変化の検討する。 ・OGD処理ラット大脳皮質神経細胞及びヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yのミトコンドリア及び細胞機能の検討する。 ・生理的条件下と虚血処理後のミトコンドリアの形態を比較検討する。
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