研究課題
本年度は動物実験として10週齢の雄のC57BL6Jマウスを用いた。無刺激の対照群と比較し、拘束下に大腸伸展の無刺激、弱(10 mmHg)刺激、強(60 mmHg)刺激を加えた3群において、室傍核のc-Fos陽性細胞が有意に多かった。強大腸伸展刺激は、拘束ストレスによるc-Fos発現の増加を抑制した。corticotropin-releasing hormone (CRH)陽性ニューロンにおけるc-Fosの発現は、拘束ストレス下の3つの群で有意に増加した。CRHニューロンを抑制する作用を持つoxytocin陽性ニューロンでは、拘束ストレス単独群においてc-Fos発現が対照群と比較して有意に増加し、大腸伸展刺激により、さらに増加した。一方、arginine-vasopressin陽性ニューロンのc-Fos発現は、拘束ストレス単独では有意な増加を示さなかったが、対照群と比較して大腸伸展刺激により有意に増加した。健常者を対照とし、IBS患者における大腸伸展刺激に対する機能的磁気共鳴画像(fMRI)による局所脳活性化ならびに心拍変動の高周波成分、低周波成分から見た自律神経機能の変化が相違するという仮説を検証し、仮説が支持された。IBS患者の膝前部前帯状回では、安静時副交感神経活動と局所脳活動が有意な逆相関を呈した。これらの結果から、内臓痛を呈する病態では、CRH系とともにoxytocin、arginine- vasopressinの活性化が生じていることが明らかになった。また、IBS患者では、安静時の迷走神経活動が減弱しており、大腸伸展刺激時には交感神経活性化も生じにくく、膝前部前帯状回と迷走神経活動の関連性が健常者とは逆転し、中枢自律神経網の異常があることを描出した。以上の結果はIBSにおける脳腸ペプチドの重要な役割を強く示唆しており、今後の研究の発展が大いに期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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