研究課題
(計画1)NASH/NAFLD治療評価法の開発 (1)フコシル化Mac-2bp測定系の開発 引き続き平成28年度に作製したフコシル化Mac-2BPに反応するモノクローナル抗体数種類がどのようなアプリケーションに有用性があるか検討中である。モノクローナル抗体からELISAに有用性の高いものを選び、ELISA系を樹立していく過程で、測定系として使用可能な組合せを検討している。1種類の抗体についてはMac-2bpタンパク中のエピトープをほぼ同定できた。(2)これまでに開発した糖鎖バイオマーカーを組み合わせた治療効果評価システムの構築 現在、フコシル化ハプトグロビンとMac-2bpの組合せが治療効果評価法として有用か否かを検討していっている。またMac-2bpのNAFLD単一マーカーとしての有用性を510名のNAFLD患者、2122名の健診受診者を対象に検討し、平成29年度に論文化できた。Mac-2bpは単独でも優れたNAFLDのバイオマーカーとなることがわかり、NASH鑑別、NAFLD肝線維化予測に有用であった。現在多施設共同で検体を収集していっている。(計画2)NASH/NAFLD治療法の開発 (1)Fut8阻害剤開発 開発したFut8阻害剤について平成29年度に論文化できた(Bioorg Med Chem 2017)。開発した阻害剤はまだ細胞毒性が高いため、現在さまざまな化学的修飾を行うことで細胞毒性を軽減し、細胞実験に用いることが可能な阻害剤を開発中である。数種類の阻害剤について細胞実験を行っているがまだ細胞毒性が高くさらなる改変が必要である。(2)Fut8阻害剤による動物実験 細胞毒性の問題点が改善され、細胞実験を行った後は動物実験を行っていく。まずは安全性の確認のために一般毒性試験(反復投与毒性試験)、特殊毒性試験(繁殖試験、催奇形性試験)をマウスを対象にして行う。さらに通常食投与マウスにFut8阻害剤を種々の濃度で投与し、肝臓でのFut8阻害活性をin vivoで検討する。安全性の確認後、種々のNASH/NAFLDモデルを用いた検討を行う。
2: おおむね順調に進展している
(計画1)NASH/NAFLD治療評価法の開発糖鎖バイオマーカーとしてのフコシル化ハプトグロビン、Mac-2bpの測定を肝生検にて組織診断をしたNAFLD患者510名、健診受診者2122名で終了している。Mac-2bpのNAFLD単一バイオマーカーとしての能力は優れており、2017年度に論文化し報告をした。この論文ではNASH鑑別のみならず、肝線維化進展予測能にもMac-2bpが優れていることを明らかとした。これら糖鎖バイオマーカーについての測定は現在も症例数を積み重ねている。またフコシル化Mac-2bp測定系樹立のためのモノクローナル抗体数個のうち1つについてはエピトープを同定できた。今後他の抗体についてもエピトープの同定および、これらを用いたELISA系樹立を進めていく。現時点でNASH/NAFLD治療評価法の開発としてはおおむね順調に進展していると考えている。(計画2)NASH/NAFLD治療法の開発Fut8阻害剤の開発に成功し、2017年度に論文化できた。この開発した阻害剤は現時点ではまだ細胞毒性が高く、細胞実験・動物実験に用いることはできていない。毒性軽減のために化学的修飾を行うことで現在新たなFut8阻害剤の開発を引き続き行っている。同時に別の手法を用いたFut8阻害法についても検討を行っており、こちらは細胞実験・動物実験でNASH/NAFLD進展抑制効果があることを確認している。現時点でNASH/NAFLD治療法の開発としてはおおむね順調に進展していると考えている。
(計画1)NASH/NAFLD治療評価法の開発 (1)フコシル化Mac-2bp測定系の開発 ELISA測定系を樹立後、健診受診NAFLD症例、肝生検施行NAFLD症例を対象にフコシル化Mac-2bpを測定していく。得られたデータについては統計専門家に解析を委託し、有用性の検討を行っていく。(2)これまでに開発した糖鎖バイオマーカーを組み合わせた治療効果評価システムの構築 引き続き、健診受診NAFLD症例、肝生検施行NAFLD症例を対象にフコシル化ハプトグロビンとMac-2bpを測定していく。現在二千例超の健診受診者血清と数百例の肝生検NAFLD症例の測定が終わっている。今後症例数を増やし、一般化を目指していく。また企業と共同で自動測定系の開発を進めている。(計画2)NASH/NAFLD治療法の開発 (1)Fut8阻害剤開発 現在得られているFut8阻害剤はまだ細胞毒性が強いため、さらに化学修飾を加え、Fut8阻害活性は落とさず、細胞毒性が低い化合物の作製を現在行っている。細胞毒性の低い化合物を作製してから下記の動物実験に用いていく。また合成Fut8阻害剤と別にレクチンを用いた方法での検討も進めていく。(2)Fut8阻害剤による動物実験 細胞実験での効果、毒性の確認後、安全性の確認のために一般毒性試験(反復投与毒性試験)、特殊毒性試験(繁殖試験、催奇形性試験)をマウスを対象にして行う。さらに通常食投与マウスにFut8阻害剤を種々の濃度で投与し、肝臓でのFut8阻害活性をin vivoで検討する。安全性の確認後、種々のNASH/NAFLDモデルを用いた検討を行う。レクチンを用いた方法ではすでにマウスを用いた検討を行っており、有用性を確認している。今後レクチンを用いた方法での検討も合わせて進めていく。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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