研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)病態進展にはフコシル化という糖鎖修飾の亢進が起こることを明らかとした。そしてNAFLD病態進展を反映できる糖鎖バイオマーカーとしてフコシル化ハプトグロビンとフコシル化標的タンパク質であるMac-2 binding protein(Mac-2bp)が有用であることを肝生検で組織診断を行ったNAFLD患者510名、腹部エコーおよび問診、血液検査で診断した健診受診NAFLD症例2122名を対象にして明らかとした。この2つの糖鎖バイオマーカーはNAFLD患者から重症型の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の鑑別にも有用性が高いことを明らかとし、特にNASHの肝臓病理で重要なballooning hepatocyte存在診断にフコシル化ハプトグロビンが有用であり、Mac-2bpはNAFLDの肝線維化進展予測に有用であること、これらの組み合わせがさらに有用なバイオマーカーとなることを明らかとした。当初フコシル化ハプトグロビンはフコースを認識するAALレクチンとハプトグロビン抗体を用いたレクチンー抗体ELISAキットで測定していた。最近フコシル化ハプトグロビンモノクローナル抗体を用いた測定系を開発した。またフコシル化Mac-2bpに対するモノクローナル抗体を樹立し、測定系の開発を進めている。NAFLD病態進展に伴い亢進するフコシル化を起こす糖転移酵素の中でも肝臓ではFut8という酵素の発現および活性が上昇する。共同研究によってFut8阻害剤を開発した。Fut8はコアフコースと呼ばれる糖鎖構造形成を担う。このコアフコースを特異的に認識するPhoSLというレクチンの投与によってマウスNASH進展を抑制できることを明らかとした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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