研究課題
我々はこれまで、ヒトの成人膵にも自己組織再生能力があり、炎症などによる大規模な組織障害から自己再生し、組織修復が起こることを解明した。現在、膵外分泌細胞だけでなく内分泌細胞においても、複数の幹/前駆細胞候補は報告されているものの、膵の組織再生機構は未だ不明な点が多い。インクレチンGLP1受容体は、膵ではβ細胞に発現していると考えられてきたが、我々の検討ではnon-α、non-β細胞に存在し、GLP1-R強発現細胞は成体膵の前駆細胞である可能性が疑われた。そこで本研究では、GLP1受容体ノックインマウスを作成し、細胞系譜追跡実験や単離GLP1受容体陽性細胞の遺伝子発現パターン解析、in vitro分化誘導実験を行うことで、未だ仮説に過ぎない成体膵における組織幹細胞の実態を明らかにするとともに、今だヒトでは確立されていない多能性幹細胞からのβ細胞分化誘導法を開発し、将来の再生医療や自己組織幹細胞を用いた膵疾患治療法の確立に繋げることを目的とした。GLP1受容体ノックインマウスは、H27年、h28年に作出を行った。ノックインマウス作出用ベクターコンストラクト作成と組換えES細胞のスクリーニングにより、複数の組換えES細胞を取得した。この組換えES細胞を用いてキメラマウス個体を作出した。これらのキメラマウスからノックインマウス系統を交配により樹立した。これらのマウスでは、GLP1受容体遺伝子の片アレルに緑色蛍光タンパクを発現させたが、これらのマウス個体では、GLP1受容体の特異的蛍光発現は認められず、ノックインマウスでのマーカー遺伝子発現が最適でないことが考えられた。また、ヒト多能性幹細胞からの内分泌細胞分化誘導法については、ヒトベータ細胞への分化誘導に重要な転写因子を二つヒトES細胞に導入することで、分化誘導2週間という非常な短期間でヒトベータ細胞を分化誘導する技術が完成した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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