研究課題
3ヵ月齢の野生型マウスに比べ12か月齢の野生型マウスでは心筋におけるmitoNEET発現量が低下し、心筋ミトコンドリア鉄量が増加していた。3か月齢の心筋特異的mitoNEETノックアウトマウス(mitoNEET-KO)におけるミトコンドリア鉄量は野生型に比べ有意に低下しており、mitoNEETがミトコンドリア鉄を負に制御している可能性が示唆された。一方、心筋におけるミトコンドリア鉄制御関連蛋白の発現に関しては、mitochondrial ferritinはmitoNEET-KO群で上昇していたが、MFRN2、FXN、ABCB7、ABCB8は両群間で差がなかった。mitoNEET-KO群ではミトコンドリア鉄の上昇に伴って、ミトコンドリア由来の過酸化水素は上昇していた。mitoNEETによるミトコンドリア鉄代謝機構を明らかにするために、In vitro binding assayおよびMass spectrometryによりmitoNEET結合蛋白の探索をおこなったところ、transferrin receptor(TfR)およびadenine nucleotide translocator(ANT)が結合蛋白として同定された。免疫沈降法においてもmitoNEETとTfRおよびANTの結合はin vivoで確認された。ミトコンドリア鉄量はmPTP阻害薬により減少した。12か月齢のmitoNEET-KOマウスでは野生型マウスに比べミトコンドリア由来の過酸化水素は上昇しており、ミトコンドリアreserve capacityは有意に減少し、心拡大、心収縮能の低下を認めた。
3: やや遅れている
培養心筋細胞系におけるミトコンドリア鉄測定には大量の心筋細胞数が必要となるため、in vitroでの鉄評価システムの確立に時間を要しているため
mitoNEETによるミトコンドリア鉄制御は腎臓においても観察されていることから、組織や細胞種によらない普遍的な鉄制御機構と考えられる。したがって、培養心筋細胞によるin vitroでの評価を進めるとともに、非心筋培養細胞でも解析を行う。また、mitoNEET-KOマウスを用いて心不全におけるmitoNEETのミトコンドリア鉄制御の役割を明らかにする。
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