研究課題
心電図の早期再分極パターン(J波)は長らく良性所見と考えられてきたが、心室細動や突然死との関連が判明するとともに、早期再分極症候群(ERS)という致死性不整脈の独立した疾患概念が生まれた。申請者はERSの原因を解明するために、心室細動の既往のあるERS患者50人に対して心臓関連457遺伝子パネルのシークエンス解析を行い、7家系で心筋Na/Ca交換体(NCX1)の遺伝子SLC8A1に変異を同定した。COS-7細胞に変異NCX1を発現させパッチクランプ法でNCX1電流を測定すると、変異NCX1は無機能または野生型よりも有意に電流量が低下していた。変異NCX1は45Ca取り込み能が低下し、膜のビオチン化と免疫染色実験から、3つの変異では膜トラフィッキング異常も同定された。さらに、ヒト心室筋のコンピュータシミュレーション(姫野モデル)を使って活動電位を計測したところ、NCX1電流の50%低下によって活動電位持続時間が有意に短縮することが判明した。以上の結果から、QT短縮とJ波を特徴とする心室細動の原因として、これまで知られていなかった心筋トランスポータ遺伝子の異常が明らかになった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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