研究課題
喘息やCOPDなどの難治性気道疾患は気道の慢性炎症、リモデリングや気流制限によって特徴づけられる多因子疾患であり多様な表現型を呈する。気道疾患の難治化を規定する遺伝因子の同定は分子病態の理解に基づいた精密医療や先制医療の実現を可能にする。これまで申請者は一貫して喘息やCOPDの発症や病態に関与する遺伝因子の探索を行ってきた。成人喘息ではTSLP、小児喘息ではHLA-DPをGWASによって同定した。さらに、中高年発症による遺伝因子の同定、喘息とCOPDとの共通の遺伝因子の同定、アトピークラスターとTSLP遺伝子との関連などを報告している。また、880名の喘息患者を対象にクラスター解析を実施し、CCL5遺伝子やADRB2遺伝子と特定のクラスターとの遺伝的関連を報告した。これら一連の検討は、喘息やCOPDの分子病態の多様性を明らかにするとともに、より明確な表現型を有する患者群を対象とした遺伝解析によって、新たな疾患感受性遺伝子を同定できる可能性を示した。申請者は今回の基盤研究の資金を活用し、新たに以下の3つの遺伝子のフェノタイプ特異的な喘息病態への影響を明らかにした。1.ライノウイルスCの受容体であるCDHR3遺伝子が、特に幼少期発症のアトピー型で呼吸機能が低下したPhenotypeを有する成人喘息において、一定の遺伝的役割を果たしている(Allergol Int. 2017 Oct;66(4):563-567.)。2.キチン結合蛋白であり、インフラマソームの制御因子でもあるYKL-40をコードするCHLI3遺伝子が青壮年期以降に発症する喘息の発症に関連する(投稿準備中)。3.2型免疫応答の制御に重要な役割を有するTAM受容体チロシンキナーゼ(TYRO3)遺伝子がアトピーと関連する(投稿準備中)。これらの因子が難治気道疾患のエンドタイプを形成することが考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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