研究課題
近年肺癌において癌化の直接的な原因となる遺伝子異常(driver mutation)による治療法の分類が行われつつある。近年の禁煙活動の強化により,喫煙の関与が薄い遺伝子異常(EGFR 変異、EML4-ALK など)がdriver mutation となる非喫煙者肺癌の研究はさらに重要性を増してくると予想される。EGFR チロシンキナーゼ阻害薬(TKIs)は、EGFR 変異を有する肺癌に劇的な効果を示すものの、残念ながら根治しえない。またEGFR-TKIs の効果には大きなばらつきがあり、EGFR 変異肺癌がヘテロな集団であることを示唆する。その治療抵抗性、多様性の根源として癌幹細胞の存在が推測されているが、その病態は完全には確立していない。本研究では、1。申請者らのみが保有するEGFR 遺伝子組み換え肺癌マウスモデルと多能性マーカーであるOCT4 遺伝子発現をGFP で標識したマウスを交配させ、微量の肺癌幹細胞をGFP を用いて効率的に検出する。 2.肺癌幹細胞を同種同所移植し、多分化能/転移能などをin vivo で確認し、ヒト肺癌の病態をより再現する第2 世代EGFR肺癌マウスモデルの樹立 3.癌幹細胞を次世代シーケンサーで解析、治療標的を探索し、癌幹細胞の根治を目指したin vivopre-clinical trial を行うことを目的とする。
2: おおむね順調に進展している
EGFR変異による2型肺胞上皮特異的なマウス肺癌モデルをOCT4が標識されたマウスを交配中である。また、肺胞上皮より分離した腫瘍を同種異種移植して別個体に生着、増大およびその腫瘍を再度採取、さらなる移植することを確認した。またこの腫瘍はEGFR阻害薬に感受性を維持していることを確認した。Serial transplantationおよびEGFR阻害薬による負荷により悪性度の強いがん細胞、stem likeながん細胞を選別中である。
遺伝子改変マウスにおける肺癌細胞のOct4発現を標識し、効率的な癌幹細胞の可視化、FACSによる採取およびその機能解析を進めていく予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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