研究課題
本研究では,1)同一患者の肺癌細胞と正常組織のゲノムDNAのエクソーム解析を行うことで検出される変異遺伝子の中から患者特異的な癌抗原ペプチドを抽出する,2)抽出された癌抗原候補ペプチドを認識する細胞障害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte:CTL)を人工的に作製する,3)iPS細胞技術を用いてCTLの大量産生を行う,4)患者の癌細胞に対する大量産生されたCTLの殺細胞効果を調べる,ことを試みる.患者特異的かつ癌細胞でのみ発現する変異遺伝子由来の癌抗原を見出しそれを標的とするCTLを大量に作製できるのかどうかを検証し,肺癌への個別化免疫療法開発の可能性を追求することが本研究の目的である.HLA-A抗原がA2402あるいはA0201であった患者で,末梢血単核球及び癌細胞のゲノムDNAが採取できたものは3名であり,昨年度までに次世代シークエンサーを用いてエクソーム解析を行った。本年度では,VarScanプログラムを用いて,正常細胞のゲノムと癌細胞のゲノムとの差異を比較検討した。HLA型がA2402である1名の患者において,約6500箇所のSNPと約400箇所のindelを同定した。その中から,過去に癌細胞で発現していることが報告されているものや変異に伴い蛋白が大きく変化する変異ゲノムを抽出し,候補を24つの変異に絞った。日本電気株式会社の所有するHLA結合予測アルゴリズムを用いて,これらの変異遺伝子からコードされるアミノ酸配列候補のうち,HLA2402に認識されやすいアミノ酸配列を予測,抽出した.残念ながら本年度の研究は以上で終了した.今後,HLA2402に認識されやすい上位数種の候補アミノ酸配列からペプチドを作製し,この患者の癌性胸水中のTリンパ球がこのペプチドを認識するかどうかをELISPOTを用いて評価する予定である.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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