研究課題/領域番号 |
15H04832
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
萩原 弘一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00240705)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 肺障害 / MUC4 / ERBB2 / ERBB3 / 気道上皮 |
研究実績の概要 |
M 遺伝子工学で使用される通常のベクターでは,MUC4反復配列は徐々に欠失を起こし,クローニング困難であった.そのため,反復配列が欠失しにくいと言われる直鎖状ウイルスベクターpJAZZを用いて反復配列が安定に保たれることを確認した. MUC4反復配列が含まれるMUC4 exon 2を,特発性肺線維症患者よりクローニングした.片方のアレルは反復配列を354個,もう片方のアレルは反復配列を349個含んでいた.反復配列の全塩基配列を決定した. MUC4反復配列は,長さの異なるアレルが主として3つある.それらのすべてのアレルを,一般に公開されているBACライブラリからクローニングした. cDNAでMUC4反復配列のexon 2より前,MUC4反復配列のexon 3以降をすべて人工合成した. すべての配列を連結し,CMVプロモーターを5’に付加,さらに3’にFLAG tagを付加した. MUC4と細胞膜上で会合すると推定されているERBB2,ERBB3も,同様のコンストラクトを作成し,それぞれV5,HA-tagを付加した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MUC4解析で最も難しいのは,反復配列をどのように安定にクローニングするかである.現在まで,MUC4の機能がほとんど明確にされていないのは,反復配列を適切に扱う分子生物学的手法が確立されていなかったためである.今回,我々は,MUC4反復配列を,PCRを使用せずに患者ゲノムDNAからdirect cloningする手法を案出し,様々な多型のMUC4発現プラスミドを作成できるようになった.さらに,多数の反復配列を有するDNAの全塩基配列を決定するアルゴリズムも案出した.これにより,MUC4全長cDNAを得ることができるようになった.さらに,この手法を用いて全長MUC4発現プラスミドを構築し,MUC4の機能解析が可能となった.
|
今後の研究の推進方策 |
発現ベクターを,各種培養細胞に導入し,ERBB2, ERBB3, MUC4を強制発現させる.そして,EGFR-TKIへの反応性,生存シグナル関連分子リン酸化などの変化を観察する.また,発現ベクター導入細胞の細胞培養液にさまざまな濃度のEGFR-tyrosine kinase inihibitor(EGFR-TKI)を加え,EGFR-TKI濃度と細胞生存率のdose-response curveを描き,気道上皮のEGFR-TKI感受性とMUC4疾患関連配列の関連を見る.同様の処理をした気道培養細胞の生存シグナル関連分子(AKTなど)の量,リン酸化の程度などをwestern blotにより検索する
|