研究課題/領域番号 |
15H04835
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
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研究分担者 |
田中 哲洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90508079)
三村 維真理 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00727084)
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (50232509)
和田 健彦 東海大学, 医学部, 准教授 (90447409)
加藤 秀樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90625237)
川上 貴久 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10722093)
正路 久美 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (00439423)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 低酸素 / HIF / 慢性腎臓病 / 腎不全 / エネルギー代謝 / エピジェネティックス |
研究実績の概要 |
本研究では、CKDにおける低酸素による病態進行機転に関する研究を発展・新展開させ、腎臓病の病態生理についてエネルギー代謝の側面からの理解を深め、腎臓における低酸素応答の詳細の理解を深め、HIF活性化による代謝リプログラミングと hypoxic memoryの病態生理学的意義を読み解くことを目的としている。 腎臓の障害の進行の主座となる尿細管細胞と、酸素分圧の変化を直接受けるとともに高濃度の尿毒素に直接曝露される血管内皮細胞の解析を、培養細胞を用いて行っている。ヒト近位尿細管細胞 (HK2: human kidney-2) およびヒト血管内皮細胞 (HUVEC: human umbilical vascular endothelial cells)を用い、低酸素状態で細胞を培養し、microarray および RNA-seq により遺伝子発現の変化を調べ比較することにより、エネルギー代謝および線維化におよぼす影響を解析している。尿細管細胞においては、転写調節因子の相乗的効果により線維化が促進している可能性があることが分かり、また低酸素後に進む腎臓の線維化に対してエピジェネティックな介入をすることで、線維化の進行を防げるという予備的結果を得た。また、細胞内の低酸素状態をより正確に評価するため、新規りん光プローブを開発し、これを用いることにより低酸素環境下で培養した細胞の細胞内酸素分圧を測定するとともに、種々の腎疾患動物モデルにおける腎臓の酸素分圧の変化を調べ、評価系の最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究により新規りん光プローブを用いた酸素分圧測定系の確立に成功した。これは、今後の研究の発展に、大いに役立つものと考えられる。また、その他の計画についても、おおむね順調に進展しており、エネルギー代謝と線維化の2つの側面から解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
新しく確立したりん光プローブによる酸素分圧評価系を活用しながら、当初の計画予定に則り、更に研究を発展させる。また、低酸素後に進む腎臓の線維化に対してエピジェネティックな介入をすることで、線維化の進行を防げるという、hypoxic memory をターゲットとした新規治療法の開発につながる予備的結果を得ており、その詳細を明らかにする研究を並行して行う。
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