研究課題
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全(ESRD)、脳卒中・心血管病(CVD)のリスク因子であるだけでなく、認知機能障害発症とも関連する。CVD・脳卒中の共通した最早期病態は血管内皮機能障害(ECD)である。CKDの基盤病態にECDが関与する蓋然性は極めて高い。糸球体を含めた腎内細小血管における内皮(機能)研究は研究技術上の障壁に阻まれ不十分であった。私共は2光子レーザー顕微鏡を活用し、腎内微小血流・透過性変化を可視化・解析しうる新規in vivo live imaging技術、組織上で活性酸素種(ROS)・一酸化窒素(NO)の実体を直接可視化検出しうる新規技術を確立した。これらの技術を活用して、CKDの基盤病態に腎内細小動脈血管内皮に酸化ストレスとNO減少(ROS/NO不均衡)が存在し、アルブミン尿出現に糸球体ECDが関与することを明らかにした。正常内皮機能はNO/sGC/cGMP/PKG経路を介してWnt-βcatenin経路(線維化経路)を抑制的に制御しており、NO作用不足により線維化が進行することを証明した。内皮由来NO/sGC/cGMP/PKG経路は線維化抑制のブレーキとして機能する。糖尿病・高血圧等ではECDが最早期病態として先行出現する。糸球体内皮からpodocyteへのクロストークが存在し、ECDからpodocyte障害へと至る病態も存在することを示した。内皮特異的NADPH oxidase(NOX2)Tg/糖尿病モデルを作成すると、内皮細胞障害に続発してpodocyte障害が出現することを確認した。Nrf2は抗酸化・解毒酵素群の発現を制御し生体防御に必須である。Nrf2は核内へ移行し、多くの抗酸化酵素を誘導する。Nrf2/Keap1経路のCKD防護機転としての意義をNrf2遺伝子欠損マウスを用いて検証し、CKD治療の標的としてのNrf2の有用性を証明した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nephrology (Carlton)
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