研究課題
Wntリガンドが胎生期におけるアセチルコリン受容体(AChR)のクラスタリングに重要であることが知られてきたがそのシグナル伝達に関わる分子は十分に解明されていない。マウス脊髄前角細胞のレーザーキャプチャーマイクロダイセクションのマイクロアレイならびにRNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析により、Wntシグナルを制御する細胞外分泌タンパクRspo2が脊髄前角細胞に特異的に発現することを見出した。C2C12筋芽細胞に対するRspo2タンパク付加ならびにsiRNAによるRspo2ノックダウン、さらに、Rspo2ノックアウトマウスの解析にてRspo2はLgr5を筋終板受容体とするWntを介するAChRクラスタリングに必須の分子であり、agrinの80%の活性を有し、agrin/Lrp4/MuSKシグナル系に次ぐ重要なAChRクラスタリング誘導因子であることを明らかにした。加えて脊髄前角細胞特異的なRspo2発現レスキューマウス、骨格筋特異的なRspo2発現レスキューマウスを作出し、脊髄前角細胞から分泌されるRspo2がAChRクラスタリングに重要な役割を果たすことを明らかにした。さらに、マウス脊髄前角細胞において高発現の2分子のノックアウトマウスを入手し機能解析を行っている。さらに、本邦先天性筋無力症候群患者2症例において同定したDOK7遺伝子の4変異がC2C12筋管ならびに患者iPS細胞由来筋管においてAChRクラスタリングを抑制することを明らかにした。加えて、GFPT1遺伝子のエキソンスキッピング治療法開発を開始した。
2: おおむね順調に進展している
レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法により前角細胞特異的に発現をする遺伝子の網羅的な解析により、Rspo2がagrinに次ぐ重要な脊髄前角細胞由来細胞外分泌タンパクを同定し、その受容体がLGR5であることを同定するとともに、脊髄前角細胞特異的Rspo2レスキューモデルマウスと骨格筋特異的Rspo2レスキューモデルマウスを作出し、予想通り脊髄前角細胞の神経終末から分泌されるRspo2がAChRクラスタリングを誘導することを明らかにした。研究は計画通り進捗している。
先天性筋無力症候群のexome capture resequencing解析、whole genome resequencing解析をさらに多くの症例で行い、新規原因遺伝子の同定を進める。脊髄前角細胞特異的に発現をする遺伝子群の中に2つの新規AChR誘導分子の解析をさらに進める。RiboTagマウスを用いて脊髄前角細胞特異的ならびに筋終板特異的に発現する遺伝子の網羅的な解析を開始し、予備的なデータを得るとともに、BIO ID法を用いてAChRクラスタリングに関わる新規分子の同定を開始した。 これらの解析によりさらなる神経筋接合部構成分子の解析ならびに先天性筋無力症候群病態における役割を明らかにする。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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