研究課題
家族性アミロイドポリニューロパチーは肝移植治療に加え、いくつかのオプションが出てきたが、組織に沈着したアミロイドを溶解する治療法はなく、これを開発することが根治治療の道を切り開くものと確信する。これまでのprothenaおよび化血研との共同研究で、TTR115-124およびTTR88-96のmonoclonal 抗体がin vitroのTTRアミロイドの形成を有効に抑制することがわかってきた。今後はさらにこの研究を発展させ、in vivoの研究、さらには臨床研究に発展させる。1. FAP患者組織から抽出・分離・精製した抗原:FAP患者の剖検凍結組織をホモジネートしPras法でアミロイド線維を抽出した。この過程で得られる可溶性の分画もストックし、HPLC法で分取後にTTRオリゴマーの検出した。得られた各種のTTR形態を精製後に抗原として用いた。解析の結果、TTR115-124はTTRがアミロイドになる折に確かにcryptic epitopeになることが確認されたが、加えて、TTR88-96も同様の抗原になることが新たに判明した。2. in vitroの研究TTR81-127のフラグメントがin vitroでアミロイドを形成することが判明したので、これを用い細胞レベルの実験を行った。細胞表面上でTTR81-127は、アミロイドを形成したが、TTR115-124およびTTR81-127抗体はこのアミロイドを有効に抑制した。また、iPS細胞をマクロファージ化しTTR89-96抗体およびTTR115-124 抗体を添加し、アミロイド抑制効果を見たところ、顕著な抑制効果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
TR115-124はTTRがアミロイドになる折に確かにcryptic epitopeになることが確認されたが、加えて、化血研との共同研究に加えて、アメリカのベンチャー企業であるProthena社とも共同研究をしており、今年度予定しているin vivoの研究を行いながら、FAP患者に対する応用を目指して、確実に前に進んでいる。前臨床試験に入る具体的な段階に入っている。現在までのところほぼ予定通りに研究は進展しており、あらたな研究の変更はない。
平成30年度も前年度の研究を継続して実施し不足分を補う。In vivoの研究を完成させるとともに、モデル動物に対する副作用が増強されないか特に注意して解析する。また細胞療法の開発の研究も開始する。具体的には以下の通りである。1. トランスジェニックラットへの抗体の投与:トランスジェニックラットにTTR89-96抗体およびTTR115-124 抗体を投与し、TTR沈着への効果を最終的に確認する。2. マクロファージへ分化させ、各抗原の貪食効果を解析:健常人由来とFAP患者由来のiPS細胞からマクロファージへ分化させる。双方のiPS-MΦに(A)で得られた標的抗原を投与し、貪食能や反応性(サイトカイン産生)などに違いがあるか検証する。3. モデル動物での効果検討:健常人由来とFAP患者由来のiPS-MΦを(A)で得られた標的抗原と共にインキュベーションした後にモデルラットへ投与し、TTR沈着量の変化などを検証する。4. 副作用の確認:iPS-MΦの投与に伴う、副作用(生体での炎症反応)の確認をラットやウサギを用いて実施する。以上の結果を経てFAP患者への臨床実験に速やかに移行する努力をする。
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すべて 雑誌論文 (41件) (うち査読あり 39件、 オープンアクセス 17件) 学会発表 (43件) (うち国際学会 26件、 招待講演 1件) 図書 (3件)
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