研究実績の概要 |
PD モデルマウス(GBA L444P変異マウス)脳において、変化がみられる細胞膜脂質をリピドミクス(LC-MS、GCMS、MALDI MS imaging)に より同定すると共に、同マウスにてレビー小体/アルファシヌクレイン凝集を免疫組織化学的に確認した。さらには上記マウスのレビー小体/アルファシヌクレイン凝集の抑制効果をもたらす摂取脂質組成を確定するためにGBA L444Pへテロ変異を有するマウス群とコントロールとしてGBA WTマウス群、GBAの欠失変異であるGBA ヘテロKOマウス群を作製し、含有脂質成分の異なる飼料(具体的に n6/n3比を8, 15, 30, 331の4種類に調整)を3か月間継続的に与える。GDの責任酵素であるグルコセレブロシダーゼと直接関連するセレブロシド、さらに PD との関連が示唆されているガングリオシド(GM1, GM2)、グリセロリン脂質(PS, PE)、スルファチド、セラミドを順次解析した。その結果、ガングリオシド群については変異群とコントロール群で有意な差を認めなかった。そこで含有成分の異なる飼料を与える期間を延長し12か月にわたり運動機能を観察したがパーキンソン病類似の運動症状の発現はなくガングリオシドの変化も観察されなかった。一方で、我々は新規遺伝性パーキンソン病原因遺伝子を同定しつつあり、その候補遺伝子改変マウスの解析を同時に進めた。当該マウスは早期に運動症状を呈し、脂質組成の関与が示唆されるためリピドミクス解析を行った。その結果は患者脳のimaging MS (JEOL社製: JMS-S3000 Spiral TOF)でも高値となることからパーキンソン病に共通した脂質組成の変化である可能性がある。
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