研究実績の概要 |
成熟C57BL6マウスを用いて左総頸動脈を結紮(CCAO)し、7または14日後に7-0ナイロン糸を挿入し45分間左中大脳動脈(MCA)を閉塞後再灌流した。MCA閉塞45分後に小動物用1T-MRIを用いて拡散強調画像を撮像後、墨汁加ラテックス混和液を左心室より注入し脳軟膜吻合血管径を計測した。対照群は前処置なしにMCAを閉塞した群(Control群)および左総頸動脈を露出する偽手術14日後にMCAを閉塞した群(Sham-D14群)とした。術中は体温を37℃に保ちMCA閉塞中の脳皮質血流をレーザードプラ血流計でモニターした。中大脳動脈閉塞時の残存血流は、Control群、CCAO-D7群、CCAO-D14群、Sham-D14群において26.2±3.0、36.7±11.1、46.8±11.3、21.4±5.1でControl群、Sham-D14群に対しCCAO-D7、D14群で有意に保持されていた。各群のADC map体積(mm 3 )は71.2±8.5、27.1±13.5、9.2±6.5、68.9±12.0でControl群、Sham-D14群に対しCCAO-D7、D14群で有意に縮小しており残存血流との間に有意な関連がみられた(r=0.74,P<0.01)。脳軟膜吻合血管径(μm)は24.7±0.8、31.1±2.0、38.0±7.1、24.8±2.0でControl群、Sham-D14群に対しCCAO-D7、D14群で拡大しており、残存血流との間に有意な関連がみられた(r=0.70,P0.01)。また、脳軟膜吻合血管径はADC map体積との間に有意な関連がみられた(r=0.84,P<0.01)。以上の結果から脳梗塞超急性期の早期虚血病変サイズを規定する因子として脳軟膜動脈吻合を介した側副血行発達程度が重要であることが示された
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