研究課題
細管集合体ミオパチー患者に見出したORAI1遺伝子変異(2種類: Thr184Met および Pro245Thr)について、患者細胞およびHEK細胞への発現系を用いたカルシウムイメージング解析を行った。両変異体はともに、正常型ORAI1とほぼ同様の発現レベルを示し、このミスセンス変異が機能獲得変異であることを強く示唆した。また、患者細胞および変異体発現細胞は、細胞外液のカルシウム濃度に応じて、細胞内のカルシウム濃度が上昇した。また、マンガンの取り込みによる蛍光基質の蛍光の低下を示した。つまり、変異ORAI1は恒常的に活性化しており、細胞外からカルシウムイオンが流入していた。しかしながら、Thr184Met変異は、他の既知変異に比べて、カルシウム流入速度は、小さいものであった。また、すべての患者の筋病理は、筋ジストロフィー様の所見(壊死、再生)を示していた。昨年度作成したORAI 1優性遺伝型変異マウスを、週齢を追って筋病理変化を解析した。病理変化は限定されているものの、壊死線維、中心核線維の増加が認められた。また、新たにSTIM1優性遺伝型変異マウスを作成した。いくつかのファウンダーマウスが得られたが、変異マウスはいずれも低体重であった。マウスの筋病理を解析した。その結果、すべての骨格筋で著しい筋萎縮が観察された。筋線維は大小不同があるものの、平均サイズには変化がなかった。また、再生線維を予想させる小線維にも胎児型のミオシン重鎖の発現はなかった。線維化、脂肪化の促進が観察された。骨格筋で見られた筋萎縮は筋線維萎縮によるものではなく、ジストロフィック変化に伴う、筋線維の脱落、線維化および脂肪による置換によると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: - ページ: -
Hum Mol Genet
巻: 26 ページ: 3081-3093
10.1093/hmg/ddx192
https://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r1/index.html