研究課題
I型アレルギーはアレルゲン特異的IgE抗体と高親和性IgE受容体(FcεRI)を介したシグナルが発症の要因となるため、このシグナル経路はアレルギー疾患の治療戦略の標的となる。Allergin-1は免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜型受容体で細胞内領域に有するITIM配列を介してFcεRIシグナルを抑制する。申請者はAllergin-1の生理的役割を明らかにするため、Allergin-1リガンドの同定を試みた結果、分子XがAllergin-1と結合することを見出した。さらに、この分子Xで骨髄由来培養肥満細胞を刺激すると、IgE依存性の脱顆粒反応を抑制することを見出した。このことから、分子XがAllergin-1リガンドであると結論づけた。本申請課題においては本年度は、Allergin-1リガンドの生理的役割を明らかにするため、Allergin-1リガンドの発現局在の解析を行った。その結果、Allergin-1リガンドは肥満細胞に発現し、さらに肥満細胞から放出されるエクソソーム上に発現することを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度では生理的条件下におけるAllergin-1リガンドの発現局在の解析を計画していた。計画1では、肥満細胞および組織におけるAllergin-1の発現局在の解析を計画しており、肥満細胞でAllergin-1リガンドが発現していることを明らかにした。組織における局在についてはポジティブデータが得られていないため、これは平成28年度に引き続き解析を行う。さらに、計画2では、エクソソームにおけるAllergin-1リガンドの発現解析を計画しており、予想通りにエクソソーム上でAllergin-1リガンドを発現を明らかにした。以上より、概ね順調に進展していると評価した。
平成28年度ではアレルギー疾患モデルにおけるAllergin-1リガンドの機能解析を計画している。具体的には、IgE依存性局所アナフィラキシー(Passive Cutaneous Anaphylaxis; PCA)モデルにAllergin-1リガンドを外来的に投与することでアナフィラキシー症状が抑えることができるのか明らかにする。
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