研究課題
研究代表者らはマスト細胞の「概日時計」(時計遺伝子)がマスト細胞のIgEによる活性化を時間依存的に調節していることを明らかにした。しかしながら様々なアレルギー性疾患における免疫細胞の概日時計の役割は未解明である。本研究では、樹状細胞、T細胞、B細胞、マスト細胞の各々で選択的に概日時計(時計遺伝子)が障害されたマウスを作成し、これらのマウスに喘息、花粉症、食物アレルギーモデルを導入し正常マウスと比較することでそれぞれのアレルギー性疾患の病態形成において個々の免疫細胞の概日時計が果たす役割を解明することを目的とする。平成27-29年度にかけて樹状細胞、T細胞、マスト細胞の各々で選択的に時計遺伝子Clock又はBmal1が障害されたマウスをCre-loxpシステムやマスト細胞欠損マウスを用いて作成した。樹状細胞選択的にBmal1が障害されたマウスにダニ抗原を吸入することによる喘息モデルを誘導するとコントロールマウスと比較して、それらの反応が減弱することを見出した(論文準備中)。このときダニ抗原に対する抗体産生の減弱がみられ、T細胞のダニ抗原に対するサイトカイン産生も減弱していることから、感作過程が障害されていることが示唆された。リンパ節への樹状細胞の遊走過程に障害があることが予備的検討から見出されている。したがって、樹状細胞のBmal1は抗原に対する免疫応答の誘導に重要であることが示唆された。今後、このメカニズムを追求するとともに、他のマウスにおいても様々なアレルギー性疾患モデルを誘導して個々の免疫細胞の概日時計の役割について解明する。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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