研究課題
申請書の研究計画において、本年度は1.プロテアーゼによる皮膚炎の発症に関与する細胞成分の同定、およびプロテアーゼによる皮膚炎の誘導分子メカニズムの同定を目的としている。1.プロテアーゼによる皮膚炎の発症に関与する細胞成分の同定平成27年度では、本皮膚炎の誘導には、T細胞やB細胞、マスト細胞は関与していないこと、更に自然リンパ球が関与している可能性があることを明らかにした。平成28年度は、樹状細胞欠損マウスを用いて検討した結果、樹状細胞を欠損するマウスでは野生型と比較して、炎症が減弱することを明らかにした。これらの結果から、プロテアーゼによる皮膚炎の誘導には、自然リンパ球、及び樹状細胞が必須である可能性が示唆された。2.プロテアーゼによる皮膚炎の誘導分子メカニズムの同定病態に関与するサイトカインを同定するため、Th2型因子、Th17型因子の欠損マウスを用いて、皮膚炎の性状を評価し野生型と比較検討した。その結果、IL-4, IL-5, IL-13といったTh2型因子の欠損マウスでは、野生型と同程度の炎症が惹起されるのに対し、IL-17A, IL-22, IL-23といったTh17型因子の欠損マウスでは皮膚の炎症が野生型と比較して、減弱することを明らかにした。これらの結果から、Th17型因子を産生する細胞群、特に3型自然リンパ球の病態への関与が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
欠損マウスが予定通り入手できたため。
次年度は、当初の計画通り、プロテアーゼ皮膚炎の誘導分子メカニズムの詳細を明らかにすることと、皮膚炎を介した抗原感作による気道炎症発症機構の解析に焦点を当てる。具体的にはTh17型因子を産生する細胞成分の同定、同細胞の特異的なマーカーの検索、及び経皮膚感作喘息モデルの確立、気道炎症の評価を行う。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件)
Lancet
巻: 389 ページ: 276-286
doi: 10.1016/S0140-6736(16)31418-0
Semin Immunopathol
巻: 38 ページ: 623-629
doi: 10.1007/s00281-016-0566-0
J Invest Dermatol
巻: 136 ページ: 1408-1417
doi: 10.1016/j.jid.2016.02.810
J Immunol
巻: 196 ページ: 3559-3569
doi: 10.4049/jimmunol.1500717