研究課題
アトピー性皮膚炎患者の湿疹部位にプロテアーゼ産生性の黄色ブドウ球菌が特に多く存在する事実に着目し、黄色ブドウ球菌由来のプロテアーゼの皮膚への影響を明らかにすることを目的とした。具体的には黄色ブドウ球菌由来のプロテアーゼによる表皮バリア破壊が誘導するマウス皮膚炎モデルを確立し発症メカニズムを解明すること、同モデルの皮膚から抗原を感作させるモデルを確立し発症メカニズムを解明することを目指した。最終年度である本年度は、1. プロテアーゼによる皮膚炎の発症に関与する細胞の性状解析、2.皮膚炎を介した経皮膚感作喘息モデルの確立及び気道炎症の性状解析を目的とした。前年度までの結果からプロテアーゼによる皮膚炎には、Th17型サイトカインであるIL-17, IL-22, IL-23が重要な役割を担っていることを明らかにしている。本年度は、IL-23の産生細胞とし、組織構成細胞、主に上皮細胞が重要であることを蛍光免疫染色及び骨髄キメラマウスを用いた実験で明らかにした。更に、IL-17の産生源として、皮膚に存在するCCR6陽性の3型自然リンパ球と、表皮に存在する樹状細胞の一部が重要な役割を担うことを、IL-17 reporterマウス及び移植実験を用いて明らかにした。近年の報告から、バリア機能が障害された皮膚を介した抗原感作が、気管支喘息を始めとしたアレルギー疾患の発展に関与していることが示唆されている。プロテアーゼにより皮膚炎を誘導し、抗原(OVA)を塗布することで経皮膚的に抗原感作し、血清中抗原特異的IgE抗体値を測定した。プロテアーゼを塗布し皮膚炎を誘導した群では、不活化プロテアーゼを塗布した皮膚炎を有しない群と比較して、血清中抗原特異的IgE値が低下することが判明した。皮膚に残存するプロテアーゼによる抗原分解、もしくはTh17型炎症によるIgE抗体産生抑制が原因として示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Allergol Int
巻: In press ページ: In press
10.1016/j.alit.2018.01.003
J Allergy Clin Immunol
10.1016/j.jaci.2017.12.1007
10.1016/j.jaci.2018.02.033
10.1016/j.alit.2017.11.008