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2016 年度 実績報告書

クリプトコックス・ガッティ感染症における高病原性の免疫機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H04867
研究機関東北大学

研究代表者

川上 和義  東北大学, 医学系研究科, 教授 (10253973)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードクリプトコックス・ガッティ / 高病原性 / 免疫機序 / トランスジェニックマウス
研究実績の概要

クリプトコックス抗原特異的T細胞受容体を発現するトランスジェニックマウス(CnT-II)を用いることで高病原性クリプトコックスに対する免疫応答性を解析し以下の結果を得た。1)CnT-IIマウスの肺内にクリプトコックスを感染させたところ、Cryptococcus gattii(CG)ではC. neoformans(CN)に比べ感染14日後の肺内でのIFN-γ産生が低下したが、IL-4、IL-5、IL-13、IL-17産生は不変または軽度の低下にとどまった。2)肺及び所属リンパ節でのTh1細胞はCNに比べCGで減少していた。3)Th1細胞のマイグレーションに重要なCXCL9及びCXCL10の肺内での発現は両菌種で差はみられなかった。4)CnT-IIマウスの脾臓T細胞を抗原ペプチドで刺激する際に両菌種の菌体破砕物を添加したところCGにおいてTh1細胞への分化が低下していた。5)クリプトコックス感染でのTh1免疫応答にTLR9を介した真菌DNAの認識が重要なことから、両菌種のDNA刺激による樹状細胞からのIL-12産生を比較したところ、CGにおいて低下していた。6)TLR9を介した刺激に重要なCpGモチーフの全ゲノムにおける頻度を比較したところ両菌種で差はみられなかった。7)CpGモチーフのメチル化がTLR9刺激活性を低下させることから、いくつかのCpGモチーフにおけるメチル化の有無を調べたところ両菌種ともに検出されなかった。8)宿主免疫応答の抑制が知られている莢膜多糖グルクロノキシロマンナンを両菌種から精製し、樹状細胞からのサイトカイン産生、レポーターアッセイによるDectin-2刺激活性を調べたところ、CGで顕著な低下が観察された。これらの結果から、CGとCNによるTh1免疫応答の相違に真菌からのPAMPsとその認識受容体との相互作用の違いが関係する可能性が示唆され、今後PAMPsの構造との関連性についてさらに解析を進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2種類のトランスジェニックマウスを用いたin vivo及びin vitroの実験で、C. gattii感染ではTh1細胞への分化が低下していること、その機序にはDNAやGXMのようなPAMPsが関与する可能性があることを示唆する興味深い結果が得られつつある。

今後の研究の推進方策

平成28年度に得られた知見をもとに、高病原性クリプトコックス感染でTh1免疫応答が低下し感染が悪化する機序について、PAMPsと認識受容体との相互作用の観点からアプローチするとともに、PAMPsの構造の違いと病原性との関連性についてさらなる解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] Differentiation of effector helper T cells in response to Cryptococcus neoformans and C. gattii in transgenic mice expressing T cell receptor for 98kD mannoprotein2016

    • 著者名/発表者名
      Oniyama A, Miyahara A, Kawamura K, Ishii K, Kawakami K
    • 学会等名
      第45回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      宜野湾(沖縄コンベンションセンター)
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] Effect of Cryptococcus neoformans and C. gattii on helper T cell response in OT-II mice2016

    • 著者名/発表者名
      Kawamura K, Zong T, Oniyama A, Ishii K, Kawakami K
    • 学会等名
      第45回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      宜野湾(沖縄コンベンションセンター)
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] Contribution of Mincle to host cell recognition of Cryptococcus neoformans2016

    • 著者名/発表者名
      Sato Y, Tanno D, Kanno E, Ishii K, Yamasaki S, Kawakami K
    • 学会等名
      第45回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      宜野湾(沖縄コンベンションセンター)
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] Immune response to OVA-expressing Cryptococcus neoformans and C. gattii in OT-II mice2016

    • 著者名/発表者名
      Zong T, Miyahara A, Kawamura K, Ishii K, Kawakami K
    • 学会等名
      第90回日本感染症学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      仙台(仙台国際センター)
    • 年月日
      2016-04-15 – 2016-04-16
  • [学会発表] クリプトコックス感染後の肺内における組織滞在型メモリーT細胞の集積とIFN-γ産生2016

    • 著者名/発表者名
      宮原杏奈, 鬼山明穂, 石井恵子, 川上和義
    • 学会等名
      第90回日本感染症学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      仙台(仙台国際センター)
    • 年月日
      2016-04-15 – 2016-04-16

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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