研究課題
本年度は、官能基Xを保有する化合物ライブラリー(2000種程度)を対象に、IMP-1メタロベータラクタマーゼの阻害剤探索を行った。化合物存在下におけるメロペネムの最小発育阻止濃度(MIC)の低下を指標に生物学的阻害効果を、精製IMP-1のメロペネム分解活性の低下を指標に酵素学的阻害効果を検証した。いずれの評価においても強い阻害効果を示した化合物Zについてさらに検討を続けた。化合物ZはIMP-1を産生する複数の臨床分離株に対しても阻害効果を示した。また、IMP-1産生菌のみならず、NDM-1、VIM-2といったsubclassB1メタロベータラクタマーゼを産生する大腸菌に阻害効果を示し、さらに、L1やSMB-1といったsubclassB3メタロベータラクタマーゼ産生菌についても阻害効果を示した。しかし、subclassB2メタロベータラクタマーゼを産生する大腸菌には阻害効果を示さなかった。したがって、化合物Zは複核のMBLに対して広汎な阻害活性を示す可能性が示唆された。そこで、阻害機構の詳細を明らかにするため、IMP-1と阻害剤Zの複合体結晶の作製を試みた。複数の結晶について解析を行ったが、現段階では、化合物Zに相当する電子密度は未だ確認されていない。今回の研究で、化合物Z以外にも幾つかのIMP-1阻害剤が発見された。その中には既知のメタロベータラクタマーゼ阻害剤の誘導体やキレート剤なども含まれていたが、これまでにメタロベータラクタマーゼ阻害剤として報告のない低分子化合物も複数含まれていた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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