研究課題
HIV-1感染症の治癒に向けた治療法開発の標的であるHIV持続感染細胞の動態を解析した。抗ウイルス療法(ART: antiretroviral therapy)の進歩により、HIV-1感染症の予後は著名に改善したが、現在の治療法ではウイルスを排除できず、治療は一生継続する必要がある。ART下に残存するウイルス関しては、proviral DNA (pDNA)の動態とHIV-1の組み込み部位に関連した持続感染細胞増殖の病態研究が重要である。これらの研究は、pDNAにかかわる宿主因子の同定、ウイルス潜伏のメカニズムの解析を可能にし、残存ウイルスの排除に向けた治療法の開発に結び付く。我々は、1996年頃から長期にわたりARTを行っている59症例の末梢血単核球(PBMC)からDNAを抽出し、SYBER Green qPCRを用いgag部分を増幅し、これをAlbのDNAで標準化して比較した。およそ1~2年に1回のサンプリングした840検体(一症例あたり平均14ポイント)について、10年以上に及ぶ長期間のpDNA動態を解析した。pDNAは無治療時には平均284コピー/10^6 PBMCであったが、ART開始によって低下した。一方、長期治療の過程では、症例ごとに異なるレベルとなった。慢性合併症(comobidities)を持つ症例では、pDNAレベルが大きく増減を繰り返す症例が見られるなど、ART下におけるpDNAの動態には、症例により異なるパターンがあることが推測された。一方、HCVの共感染に関しては大きな影響は見られなかった(J Acquir Immune Defic Syndr 2018, in press)。長期にわたりART治療を受けているHIV-1感染症例12症例に関して、経時的検体のウイルス組み込み部位を決定し、感染クローン動態解析を進めている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
JAIDS
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