研究課題
若年性特発性関節炎の中でも全身型(sJIA)は、自己炎症性疾患の特徴を示し、症例の一部では、インフラマソームの活性制御に関わる分子の異常により発症する monogenic disease である可能性が示されている。本研究では、これらの我々自身の成果ならびに他の研究者の発表成果を踏まえて、MAS 発症に至る共通の分子病態を明らかにすることを目的に計画が立てられている。これまでのサイトカイン解析を中心として研究の結果、sJIAが炎症制御機構の異常とNK細胞機能障害、さらに過剰な炎症病態を合併する特有な疾患であることが示唆されている。このような NK 細胞機能障害は IL-18 高値が持続することによる一過性のものであり、炎症病態の正常化とともに回復することを明らかにした。これについては、現在論文作成中である。また本研究では、sJIA急性期における血清サイトカインがIL-18の異常高値を主体とした特徴的なプロフィールを示すことを明らかにした。さらにサイトカイン解析により、MASを高率に合併し強い全身炎症病態を示す亜群と(全身炎症型)、しばしば難治性の関節炎を合併し関節予後が不良となる亜群(関節炎型)では、発症初期の臨床像や炎症病態が類似するにも関わらず、その分子病態は全く異なる可能性が示された。従来のバイオマーカー解析に加えて、可溶性 TNF 受容体比率が MAS 合併病態と重要な関連があることを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
sJIA で MAS 合併症例の解析が順調にすすみ、多様なバイオマーカーが指標となる可能性を示した。成果の一部は英文論文として公表されている。
今後さらに、sJIA 急性期におけるサイトカインならびに多様なバイオマーカーの解析を継続、MAS 合併の指標を探索する。また、MAS を伴う sJIA 類似の炎症病態発症の原因となる原発性免疫不全症、あるいは自己炎症性疾患群を明らかにする。それにより、MAS 病態発症の分子機序を解明し、あらたな診断・治療介入のための方法論を開発する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件)
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