研究課題
重症先天性好中球減少症(SCN)-iPS細胞の遺伝子編集実験と並行して、より高いCD34陽性細胞産生能が期待できるPTPN11c.G226A変異を有する若年性骨髄単球性白血病(JMML)患者由来のiPS細胞を用いて実験を行った。この患者からはPTPN11変異を有するiPS細胞と野生型PTPN11遺伝子を有するiPS細胞が樹立されたが、ヒト胚性幹細胞に特異的な種々のマーカーの発現や3胚葉分化能に差は認められなかった。マウスAGM-S3間質細胞上でBMP4、VEGFおよびSCF/TPOを添加した培養系でCD34陽性細胞数とCD34陽性CD45陽性細胞数を比較したところ、PTPN11変異遺伝子を持つiPS細胞の方が明らかに高値を示した。JMML患者から樹立された野生型PTPN11遺伝子を有する2つのiPSCクローンの造血分化能は、健常者から樹立されたiPSCクローンと同程度であった。次に、PTPN11変異遺伝子を持つJMML患者由来のiPSCの全エクソームシークエンスを行ったところ、細胞増殖と生存に必須と報告されているOSBP2c.C389T変異が認められた。PTPN11変異を有するJMML iPSCはこのOSBP2変異を有し、PTPN11変異を持たないJMML iPSCのOSBP2遺伝子は野生型であった。そこで、ZFNを用いた相同組換えアプローチにより、PTPN11変異の修復と導入を行った。PTPN11遺伝子とOSBP2遺伝子の両者に変異を持つiPSCにおいてPTPN11変異を修復したところ、2つの遺伝子が野生型のJMML iPSCと同レベルまでCD34陽性細胞産生は減少した。一方、2つの遺伝子が野生型のJMML iPSCへPTPN11変異を導入したところ、CD34陽性細胞産生は増加し、PTPN11遺伝子とOSBP2遺伝子の両者に変異を持つiPSCに匹敵するレベルに達した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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