研究実績の概要 |
難治性炎症性疾患患者を次世代シークエンサーを用いた既知自己炎症性疾患遺伝子パネル(遺伝子:NLRP3, NOD2, MVK, MEFV,PLCG2, PSTPIP1, IL1RN, NLRP12, PSMB8, HMOX1, NLRC4, TNFRSF1A)にて解析、迅速に臨床診断するとともに変異陰性例を全エクソーム解析対象とした。骨溶解性関節所見を示す患者において、トリオによる全エクソーム解析を行い、既報告ではあるがMAFB遺伝子変異を同定した。その他、今年度は新規候補遺伝子の同定にいたらず、これまでに報告されている疾患の病態解析を継続しておこなった。 難治性炎症病態を示すメンデル遺伝性疾患の病態解析系の構築として、メバロン酸キナーゼ欠損症の疾患特異的iPS細胞を用いた解析を行った。分化誘導系にてiPS細胞由来単球・マクロファージを作成、炎症性サイトカイン産生能を検討した。これまでのところ患者末梢血でみられた炎症性サイトカイン産生能亢進を再現できていない。それぞれのiPS細胞由来単球・マクロファージの発現解析を行い、末梢血との違いを検討中である。同疾患の病態解析系として、患者変異を有する遺伝子改変マウスをCRISPR/Cas9を用いて樹立、ホモ変異体を交配作成中である。 NLRC4異常症の病態解析系として疾患特異的iPS細胞を作成した。コントロール細胞として、CRISPR/Cas9を用いて変異を正常化したiPS細胞を樹立、解析を進めた。 臨床診断において重要であるNLRC4変異の疾患関連性の評価系として、THP-1細胞に変異NLRC4を強制発現する系を確立した。この成果により、不明熱患者におけるNLRC4異常症の正確な診断が可能となった。
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