研究課題
高齢者のうつ病患者では認知機能低下が認められ、うつ病による仮性認知症か認知症の前駆症状としてのうつ病なのか鑑別困難なことしばしばある。我々は、アルツハイマー病(AD)群、高齢健常対照群、うつ病と軽度認知障害を併発した高齢患者群を対象に、[18F] florbetapirを用いたアミロイドイメージングを行った。その結果、軽度認知障害を呈したうつ病患者でアミロイド陽性群は陰性群に比べて、うつ病の発症年齢が平均で70歳以上と有意に高齢であることを確認した。この結果は、若年または成人発症のうつ病より、高齢発症のうつ病がアミロイド病変と関連すること、ADの前駆症状としてのうつ病の存在を示していると考えた。アミロイドイメージングを行った被験者については可能な限り追跡調査を行った。その結果、アミロイド陽性群では陰性群と比較して認知機能が有意に低下することを確認した。続いて新規リガンド[11C]PBB3によるタウイメージングを導入した。AD患者のタウイメージングでは、アミロイドが大脳新皮質や後部帯状回への集積が強く側頭葉内側への集積が弱いのと対照的に、タウは海馬を含む側頭葉内側部に強い集積が認められること、またその集積が症状の重症化に伴い、大脳辺縁系、さらには大脳新皮質の広範な領域へ拡大を示していた。その所見は、剖検脳の神経病理解析に基づくBraakのタウ病期の進行とよく一致していた。さらに、ADの認知症発症に前駆している可能性が考えられる高齢発症うつ病患者を対象に、タウ病変とうつ病症状との関連を検討した。その際には、[18F]PE2Iを用いたドパミントランスポーターおよび[11C]AZ10419369を用いたセロトニン1B受容体イメージングを行い、うつ病の病態に関連すると神経伝達機能の変化を捉えた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Psychopharmacology
巻: 235 ページ: 1317~1334
10.1007/s00213-018-4872-1
J Affect Disord.
巻: 231 ページ: 83-90
10.1016/j.jad.2018.01.010
J Alzheimers Dis.
巻: 62(1) ページ: 239-245
10.3233/JAD-170956.
PLoS One
巻: 13(5) ページ: e0197201
10.1371/journal.pone.0189318.
心と社会
巻: 49(4) ページ: 64-71
臨床精神医学
巻: 47(12) ページ: 1357-1362