研究課題/領域番号 |
15H04899
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 伸一 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50463724)
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研究分担者 |
梅垣 菊男 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40643193)
高尾 聖心 北海道大学, 大学病院, 助教 (10614216)
松浦 妙子 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90590266)
宮本 直樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (00552879)
西岡 健太郎 北海道大学, 医学研究科, 特任助教 (80463743)
木下 留美子 北海道大学, 大学病院, 助教 (70507582)
加藤 徳雄 北海道大学, 大学病院, 助教 (80572495)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 粒子線治療 / 陽子線治療 / 動体追跡装置 / コーンビームCT / 四次元放射線治療 / 4D-CT / 4D-CBCT |
研究実績の概要 |
本研究は、1.陽子線治療ガントリー設置の動体追跡装置の2軸X線透視装置を用い、ガントリー回転と同時にCBCT構成用透視画像を取得し、透視画像群からCBCT構成機能を用いて4D-CBCT画像を得る。2. 複数の呼吸位相で構成された4D-CBCT画像の中から、治療計画用CTと同一呼吸位相の画像を選び出し、選択されたCBCT画像を用いて腫瘍及び正常組織への線量付与が治療計画時に想定したものと同一の状態であるか、許容範囲にあるかの評価を行う手法を検討し確立する。3. 選択された治療時と同じ呼吸位相のCBCT画像を計算するのに用いられた透視画像を用い、2方向画像による面マッチングを用いたマーカーレス動体追跡放射線治療の可能性を模索するものである。 平成28年度には、a. 動体追跡装置を装備した陽子線治療装置のガントリー回転を用い呼吸性移動を模することのできるファントム撮像を行った。この画像を使用して4D-CBCT画像の再構成を行った。構成した複数のCBCT画像データ群から、目的のCBCTを選び出すためのアルゴリズム開発、ソフトウエア構築に着手した。 平成29年度には、ファントム実験での成功を元に、さらにファントムでの画像取得と4次元画像を再構成する際に必要な検討事項、問題点の洗い出しを行った。正常ボランティアもしくは放射線治療患者等、人体での画像取得を行うためには薬機法の取得もしくは倫理委員会での臨床研究承認が必要である。本研究ではまず後者を行うこととし臨床研究プロトコル作成を行い本臨床研究を実施するため倫理委員会での承認を得るための手続きを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にて述べた如く、平成28年度は、昨年度に行ったファントムでの実験の成功を元に平成29年度人体での画像取得を目指し、臨床研究として行うことを目標に臨床プロトコルの作成を行った。臨床研究の実施にあたり、倫理委員会での承認が必要となるが、その承認に必須とされる被験者保護のための民間保険加入が求められた。獲得および保有している研究費では研究機関判断により保険加入のための研究資金の支出が現時点までには認められて居らず、人体を用いた画像データ取得のための倫理委員会による臨床研究実施承認が得られていないため、研究進捗はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
患者もしくはボランティア等人体を大賞とした4D-CBCTの撮像に際しては薬機法の承認もしくは院内倫理委員会承認手続きが必須である。平成28年度は正常ボランティアおよび陽子線治療を受ける患者での4D-CBCT撮像を予定し倫理委員会での承認を得るために臨床研究プロトコル作成を行っていたが、現時点ではその承認を得るに至っていない。そのため、研究計画書に記載の当初より想定してた研究が当初研究計画通りに進まないときの対応に従い、ファントムを用いたシミュレーション画像を用いた研究開発をさらに進め、2方向からの透視を元にした平面マッチングによるマーカーを用いない手法によるゲーティング照射の可能性追求を加速する。また、呼吸性移動を考慮しないCBCTは現時点で薬事申請が行われ、一般臨床としてCBCT自体の撮像は可能であることから、呼吸性移動の少ない部位のCBCT画像と治療計画 、線量分布とを比較することによって臨床的に腫瘍および正常組織への治療直前の空間位置情報を元にした付与線量を検討することによって、「患者に優しいがん治療ができる放射線治療システム構築を目的とする」と記した研究目的の達成を図ることとする。
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