研究課題
次世代型粒子線治療のための基盤研究として,以下の4つのテーマを実行し,基礎と臨床をつなぐトランスレーショナルリサーチを行った.「粒子線による高次の抗腫瘍効果発現メカニズムの解明」では,化学療法と陽子線治療の併用について検討した.3種類のがん細胞株を用いてX線と陽子線の化学療法シスプラチン併用による効果の違いについて検討し,線質により細胞死の形態が異なることを見いだした.また,子宮頸癌の病理組織をもちいて,既知の放射線感受性因子,特に転移浸潤に関する因子をタンパクレベルで解析を行い,予後因子を見いだした.「粒子線による正常組織障害発現メカニズムの解明」においては,コントロールとなるX線でのデータ取得後に,中性子捕捉療法での正常組織への影響の検討のため,チャイニーズハムスター由来細胞(SCCVII、V79)および悪性黒色細胞に対して、フリービーム照射条件で中性子線を照射し,生存率曲線から各スペクトルを有する中性子線のRBEを算出した.今後治験のための本格的な非臨床試験に向かう基盤データとなった.「BNCTの細胞死予測とサバイバルマッピングによる治癒率予測プログラム作成」では,治療計画装置をほぼ完成し,中性子捕捉療法実施施設へ配置し,データ入力が可能となった.今後は,各施設での治療計画の比較が可能となる.「基盤研究シーズから出てくる新しい臨床試験の立案」において,陽子線治療については,脳動静脈奇形に対する臨床試験の継続に加え,新たに保険適応となった小児腫瘍に対する全国的なレジストリを実施した.肝癌,肝内胆管癌,前立腺癌に対する臨床試験を開始した.中性子捕捉療法では,皮膚悪性腫瘍を対象として,医師主導治験を行うための臨床研究計画書がほぼ完成した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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