研究課題/領域番号 |
15H04903
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青山 英史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80360915)
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研究分担者 |
阿部 英輔 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50571923)
稲川 正一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60303567)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線腫瘍学 / 転移性脳腫瘍 / 放射線治療 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
本研究は①「脳への放射線治療の照射パラメータ(線量や照射法)の違いが認知機能・QOLならびに脳微細構造に及ぼす影響に関する研究」、②「腫瘍制御を損なうことなく認知機能を温存することを目的として定位照射併用時の全脳照射線量の最適化に関する研究」を通じて転移性脳腫瘍に対して、放射線有害反応による認知機能低下、頭蓋内腫瘍再発のいずれのリスクも低い新標準治療を確立することを目的とする。 平成28年度は①については研究論文を2編公表した(1. Factors Affecting the Baseline and Post-Treatment Scores on the Hopkins Verbal Learning Test-Revised Japanese Version before and after Whole-Brain Radiation Therapy, Int J Mol Sci 17(11),2016., 2. Transl Cancer Res 5(7):1465-1468,2016)。その結果、治療後4か月時点での認知機能低下は予後不良群(8か月時点での認知機能検査を受けられなかった群)では有意であったが、予後良好群(4か月、8か月両時点で検査施行可能であった群)では有意な低下は見られなかった。このことから4か月時点での低下は放射線有害反応ではなく、全身状態の悪化が原因と考えることが妥当であることなどを明らかにした。また②については前年度に日本放射線腫瘍学研究機構の正式な研究として承認され(JROSG13-1)、これまで13施設においてIRBの承認をうけ、平成29年3月末時点で29症例が登録された。また本研究に関連して転移性脳腫瘍における全脳照射の役割についての意見(invited commentary)をJAMA Oncolgy誌に発表した(JAMA Oncol, published online January 5, 2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①「脳への放射線治療の照射パラメータ(線量や照射法)の違いが認知機能・QOLならびに脳微細構造に及ぼす影響に関する研究」については、研究論文が2編公表された(Int J Mol Sci 17(11),2016., Transl Cancer Res 5(7):1465-1468,2016)。 ②「腫瘍制御を損なうことなく認知機能を温存することを目的として定位照射併用時の全脳照射線量の最適化に関する研究」については日本放射線腫瘍学研究機構研究(JROSG13-1)として順調に症例登録が継続している。また関連する意見(invited commentary)がJAMA Oncology誌に掲載された。(JAMA Oncology, published online January 5, 2017) 以上のことからおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
①「脳への放射線治療の照射パラメータ(線量や照射法)の違いが認知機能・QOLならびに脳微細構造に及ぼす影響に関する研究」については、長期フォロー時における認知機能とQOLに関する影響について研究を進める。②「腫瘍制御を損なうことなく認知機能を温存することを目的として定位照射併用時の全脳照射線量の最適化に関する研究」についてはJROSG13-1の症例登録を継続する。
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