研究実績の概要 |
本研究は①「脳への放射線治療の照射パラメータ(線量や照射法)の違いが認知機能・QOLならびに脳微細構造に及ぼす影響に関する研究」、②「腫瘍制御を損なうことなく認知機能を温存することを目的として定位照射併用時の全脳照射線量の最適化に関する研究」を通じて転移性脳腫瘍に対して、放射線有害反応による認知機能低下、頭蓋内腫瘍再発のいずれのリスクも低い新標準治療を確立することを目的とする。 ①についてはこれまで関連する論文を7編(英文6編)公表した(Int J Mol Sci 17(11),2016., Transl Cancer Res 5(7):1465-1468,2016., JAMA Oncol 3(8):1021-1022,2017., Jpn J Radiol 35(3):95-100,2017., Int J Radiat Oncol Biol Phys 99(1):31-40,2017., 定位的放射線治療 1:1-9,2017., Lancet Oncol 19(1):e33-342,2018)。その結果、4か月時点での低下は放射線有害反応ではなく、全身状態の悪化が原因と考えることが妥当であることなどが明らかになった。また認知機能検査を研究の指標として用いた場合の問題点なども明らかになりつつあり、Z-scoreを用いた解析手法などについても検討している。現在はさらに研究を進めMRI画像データを用いたVBM(Voxel Based Morphometry)という手法を取り入れ、放射線照射後の脳の部位別形態変化に関する研究を進めており、次年度には認知機能の関連性についても検討する予定である。②については日本放射線腫瘍学研究機構の多施設共同研究(JROSG13-1)を継続している。現在13施設が参加しており、平成30年3月末時点で34症例が登録された。昨年度末に中間評価が行われ、その結果がデータセンターからJROSG効果安全委員会に送られ、試験継続について問題はないことが確認されている。
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