現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
項目① に対して、細胞膜通過ペプチドの最小単位であるアルギニン(R)の連続配列を11Rから9R,7R,5R、3Rとペプチドの長さを減らしていき、3Rにて細胞内導入されることを確認した。さらに、BSH-1R,BSH-2R、BSH-3Rを作成し、細胞内導入効果の検証を行った。BSH-2R及びBSH-3R導入悪性脳腫瘍細胞にて、細胞内のBSHが確認された。さらに、悪性脳腫瘍細胞を脳内に移植したマウス脳腫瘍モデルを作成し、尾静脈よりBSH、BSH-2R、BSH-3Rの投与を行った。組織免疫染色にて、BSH-3R投与群のみ腫瘍部に一致して、BSH-3Rの導入を確認した。この結果より、臨床応用可能な新規のBSH-CPPとして、新規のBSH-3Rの作成に成功した。よって、目標①は達成した。 項目② PET分子イメージング試薬としてBSH-3Rまたは、BSHにキレート剤DOTAを連結し、ここに64Cuを結合させたBSH-3R-DOTA-64Cu, およびBSH-DOTA-Cu64の2種類を作成した。ヒト悪性脳腫瘍細胞を脳内に移植したマウス脳腫瘍モデルに対し、尾静脈より投与し、継時的にPET検査を行った。BSH-3R-DOTA-64Cu投与群では、正常脳と比較して腫瘍部(T/N比)で8.1倍の取り込み能を確認した。これは、BSH-DOTA-64CuのT/N比2.8と比較して非常に高い腫瘍特異性を示した。新規薬物動態評価用のPET製剤開発に成功した。 上記に関して、Tumor-specific delivery of BSH-3R for boron neutron capture therapy and positron emission tomography imaging in a mouse brain tumor model.,Iguchi Y, Michiue H, Kitamatsu M, Hayashi Y, Takenaka F, Nishiki T, Matsui H. Biomaterials. 2015 Jul;56:10-7論文発表に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
Tumor-specific delivery of BSH-3R for boron neutron capture therapy and positron emission tomography imaging in a mouse brain tumor model.,Iguchi Y, Michiue H, Kitamatsu M, Hayashi Y, Takenaka F, Nishiki T, Matsui H. Biomaterials. 2015 Jul;56:10-7論文発表に成功しており、計画以上に研究は進展している。 今後、脳腫瘍幹細胞を標的とした、BNCTの開発を行っていくものとし、また、原子炉再開の後、中性子照射を行う予定である。
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