研究課題/領域番号 |
15H04908
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松尾 政之 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40377669)
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研究分担者 |
村井 太郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00747602)
芝本 雄太 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20144719)
杉江 愛生 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80509258)
河合 辰哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70597822)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電子スピン共鳴画像 / MRI / 再酸素化 / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)との共同実験である電子スピン共鳴画像(EPR:Electron Paramagnetic Resonance Imaging)を用いて、担癌マウスの放射線照射における「再酸素化」現象の画像を解析し、再酸素化に基づいた放射線治療の可能性や脆弱な血管をターゲットとした新しい放射線増感剤の可能性を模索する。さらに解糖系代謝の変化をNIHでの超偏極DNP(Dynamic Nuclear Polarization)-MRI画像解析にて解明することである。その中で本年度の計画は、EPRおよび超偏極DNP-MRIによるin vivo実験の詳細な解析を完了することである。EPRでの放射線治療における再酸素化の画像化実験において、放射線照射後の酸素状態がほぼ24時間後に照射前の酸素状態に戻る現象の撮像に成功し、その酸素画像の取得および解析に成功した。解析結果から、「再酸素化」現象の原因が細胞死のみではなく、放射線照射による未成熟な血管への影響が大きな要因である可能性が高いことをが分かった。さらに、超偏極DNP-MRIによる解糖系代謝の解析において、照射後の糖代謝は、3Gy照射においては活性化し上昇しているものの、10Gy以上の照射においては糖代謝は低下しており、照射線量に依存して変化する可能性を確認した。今後は更なる照射線量への依存性や詳細な時間経過の解析も引き続き行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度中に計画した実験結果解析はほぼ終了した。ばらつきが大きく満足な結果が得られない実験データもあったが、ほとんどの実験で一定の結論が得られている。更なる解析をもう少し追加し、その後、In vivo実験および研究成果の発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
画像解析で得られた結果と免疫組織化学的検証と電子顕微鏡による観察を行う。免疫組織学的実験では電子スピン共鳴画像にて撮像・解析された同じcancer cell lineを用いて、免疫組織化学的検証を行う。ピモニダゾール、CD31, CD44, H2AX, αSMAの免疫染色を行い評価する。ピモニダゾールはおよそ10mmHg以下の低酸素環境下で還元されて細胞内に蓄積するため、その投与後に腫瘍切片を摘出して抗ピモニダゾール抗体で染色することで、絶対的な低酸素領域を検出し、低酸素領域の免疫組織化学的検証を行う。また、CD31, CD44, H2AX, αSMA染色でのvascularおよびDNA損傷の検討も行い、腫瘍血管の存在と低酸素領域の関係も評価する。また、電子顕微鏡による血管の観察で得られた写真から血管相互間の距離、分布密度、腫瘍血管床容積の近似値などを算定・評価する。初年度の予算使用においては、予定した研究は概ね順調に進んだが、新しい施設へ赴任したため、実験器具の購入を先行させた。次年度では、これらを使用して、In vivo実験を中心に行い、計画された研究を進める予定である。また。その結果を海外学会発表や論文作成を行うとともに、実験のデータ解析に関して組織データ解析などを追加して行う。実験器具、血清・薬品、論文出版費用、コンピューター関連用品、旅費を予定する。
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