研究課題
電子スピン共鳴画像を用いて、担癌マウスの放射線照射における「再酸素化」現象の画像を解析し、その原因が細胞死のみではなく、照射による未成熟な血管への影響が要因の一つであることを明らかにする。さらに、詳細な解析を進め、再酸素化に基づいた放射線治療の可能性や脆弱な血管をターゲットとした新しい放射線増感剤の可能性を模索する。また、がん組織では酸素状態にかかわらず解糖系代謝が亢進しているが、照射による酸素状態と解糖系代謝の変化は明らかにされていない。細胞実験だけでなく、電子スピン共鳴画像と新しいMRI 手法を用いて担癌マウスの解糖系代謝画像を解析し、放射線照射によって酸素状態と解糖系代謝がどのように変化するかを確認できれば、新しい放射線治療の効果指針となる。我々は、電子スピン共鳴画像(EPR)撮影終了後すぐに、マウスを固定したステージを7 T MRIのパラレルコイルに移動装着し、解糖系代謝評価のためのDNP-MRI撮像をエコープラナー法で行った。2種類のcell lineにおいてEPRによる腫瘍内酸素分圧とDNP-MRI による乳酸/ピルビン酸比を比較した。HT29においては5Gy照射1日後にも同様な連続画像検査を行い、照射の影響を検討した。結果は乳酸/ピルビン酸比は低酸素域で亢進し、5Gy照射1日後の平均酸素分圧に明らかな有意差は認めなかったが、低酸素領域は放射線照射後に拡大する傾向があった。5Gy照射1日後の乳酸/ピルビン酸比は、8mmHg以下の低酸素領域において非照射の36%から76%に有意に上昇した(P <0.05)。よって、5Gy照射1日後の乳酸/ピルビン酸比が特に低酸素領域で亢進している理由は、腫瘍酸素分圧の低下、灌流の減少などによって説明された。この新しいイメージングの組み合わせは、放射線治療における腫瘍の酸素分圧と解糖系代謝の理解に新しいアプローチを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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