研究課題/領域番号 |
15H04911
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
梅田 泉 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (40160791)
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研究分担者 |
秋元 哲夫 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (10261851)
藤井 博史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (80218982)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リポソーム / 内用療法 / 核医学治療 / theranostics / radiotheranostics / がん治療 / 放射性医薬品 |
研究実績の概要 |
本研究は放射性核種封入リポソームを用いた新規がん内用放射線治療法の開発を目的としている。これまでの研究で、いったん肝臓に集積した放射性核種を迅速に体外に排泄するシステムを構築し、ほぼ腫瘍のみへの放射性核種集積に成功している。また、これは腫瘍と肝臓でリポソーム分解速度が異なるためであり、肝臓ではリポソームが速やかに壊されることを見いだした。これまではSarcoma180移植ddY系マウスを用いて検討を行ってきたが、本年度は広く他がん種モデルへの適用を試みた。その結果、上述の肝臓からの迅速な排泄はマウス種によって大きく結果が異なることが明らかとなった。BALB/cマウスおよびBALB/c-nu/nuマウスでは、これまでと同量のリポソーム投与量(リン脂質として100μmole /kg)では肝臓からの放射性核種クリアランスは認められなかった。そこで、BALB/c-nu/nuマウスに、リン脂質量 5-100μmole/kgの111In-ethylenedicysteine(EC)封入リポソームを投与し、腫瘍および肝臓への111In集積量を評価した。投与量の低下に依存して肝臓からの111In消失が観察された。十分な消失には投与量を10μmole /kg以下にする必要があった。しかし一方で、投与量の低下は腫瘍集積量の低下を引き起こした。そこで、リポソームのポリエチレングリコール(PEG)修飾を検討した。PEG添加はリポソームの血中滞留時間を延長し、腫瘍集積性を向上させた。5%PEG添加111In- EC封入リポソームを、ヒト頭頸部癌細胞FaDu皮下移植BALB/c-nu/nuマウスに投与した結果、迅速な肝臓クリアランスと良好な腫瘍集積が共に観察され、腫瘍選択的な集積が可能となった。 今後はこの結果に基づき、BALB/c-nu/nuマウスを用いたヒトがんモデルで検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトがん担がんマウスに適用を試みたところ、当初研究コンセプトであるシステムがうまく機能しなかったが、検討の結果、原因を明らかにし、対応をとることができた。今後この結果を活かして検討が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
短寿命RI供給プラットホームで本研究に関連の実験課題が採択され、治療用核種の供給に目途が立った。また本年度の検討からヒト癌モデルでの検討も可能になった。今後は治療用核種をリポソームに封入し、種々のヒト癌モデルで治療効果の評価を実施予定である。
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