研究実績の概要 |
PET画像は、一般にカメラの機種と撮像条件によって、画質や定量性が変わる。本研究では、認知症PETのための脳のFDGおよびアミロイドPET検査と、腫瘍の全身FDG-PET検査において、PETカメラの機種に依存せず、一定の画質と定量性を持つPET画像が得られ,一定の診断精度が維持できるように、カメラ毎にファントムを用いて撮像条件を決めるための、ファントム試験法とファントム画像の画質の基準を決めた。 1.脳のFDG-PETとアミロイドPET(使用PET薬剤は11C-PiB, 18F-フロルベタピル、18F-フルテメタモル、18F-フロルベタベン)について、これまでに実施され有用性が示された多施設研究や多施設治験での撮像条件を調査し、それに基づいてファントム試験手順とファントム画像が満たすべき画質(分解能、コントラスト、均一性、雑音)の基準を決めた。これを用いて、アルツハイマー病の多施設臨床研究である「AMEDプレクリニカルプロジェクト」において、参加各PET施設で用いるPETカメラの撮像条件を決め、一定の質をそなえた多施設データが得られるようにした。本基準は、日本核医学会によるPET撮像の標準的プロトコールと、PET撮像施設認証制度のためのファントム基準として採用された。 2.腫瘍の全身FDG-PET検査においては、欧米の基準で重視されているSUV値の普遍性および信頼性と、わが国で重視される病変検出能の、両方を満足するファントム試験の方法と基準を作成した。これを抗癌剤の有効性を評価する多施設臨床研究(JCOG)に利用して、一定の画質のPETデータが得られることを確認した。 3.先端医療センターでは、PETカメラ(Discovery 690)を用いてファントム実験を行い、この基準を満たす撮像条件を定めてその条件でPET臨床研究を実施した。
|