研究課題
本研究では、難治性である肝胆膵領域癌に対してその臨床的背景及び分子的背景を解析し、新規治療開発を目的としている。当施設では2000年から685例の肝細胞癌、200例の膵臓癌、230例の胆道癌の切除標本を有している。治療標的として有望な分子に関してはそれぞれの手術標本を用いた発現解析、臨床病理学的因子との相関を解析し、標的分子としての臨床的有用性を探索している。さらに臨床応用を目的とし、新規分子標的阻害剤治療を開発することを本研究の目標としている。本年度は新たに、肝細胞癌28例、膵臓癌27例、胆道癌15例の手術標本を採取した。さらには手術標本を用いて希少疾患である膵神経内分泌腫瘍に関した治療薬の臨床的有用性や、新規がん抑制遺伝子の基礎実験による機能解析や予後との関連性に関する報告なども行っている。過去に我々はAurora kinaseと肝細胞癌の予後不良を示す規定因子としての報告や、Aurora kinase Bの阻害剤による前臨床試験レベルでの有効性をしめす報告をしてきた。これらを基軸に、細胞致死性を増強させる併用療法の開発を探索してきた。今後も同様のコンセプトを用いて、現在いくつかの標的分子を同定しており、各種実験を行い機能解析を行う。原発性肝癌同所性モデルおよび膵癌同所性、転移性肝癌モデルを用いたin vivo解析も行っている。これらを用いて肝環境内などでの抗腫瘍効果の評価、薬力学的解析を行うことが可能である。標的分子バイオマーカー解析を行い、治療効果を組織学的に評価するとともに、標的分子のバイオマーカーを免疫組織学的染色により検出し、実際の標的分子阻害機序を確認していく。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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