研究課題/領域番号 |
15H04927
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
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研究分担者 |
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30743918)
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
五十嵐 道弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50193173)
味岡 洋一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80222610)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70447605)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胆道外科学 / 膵臓外科学 / 胆道癌 / 膵癌 / 脂質メディエーター / 転移能 |
研究実績の概要 |
課題研究A:S1P 産生責任酵素(SphK1)過剰発現/ノックダウンによる癌細胞の浸潤能・遊走能の制御実験(in vitro):SphK1 をプラスミドベクターにより過剰発現、同酵素をCRISPR/Cas9によりノックダウンしたB/6系マウス膵癌細胞株細胞株を樹立し、浸潤能・遊走能の分子制御実験を行いS1P シグナルの分子制御機構を解析中である。 課題研究B:S1P を介したリンパ管新生および癌と宿主の相互作用(in vivo):SphK1ノックダウンした膵癌細胞株をB/6系マウスおよびリンパ管内皮細胞特異的SphK1&SphK2コンディショナルダブルノックアウトマウスに移植し、リンパ管新生を解析し、S1P シグナルを介したリンパ管新生および癌微小環境の形成機序(癌と宿主の相互作用)を解析中である。 課題研究E:リンパ節転移におけるS1PおよびSphK1発現の臨床的意義(in vivo & human sample):リンパ管内皮細胞特異的SphK1コンディショナルノックアウトマウス、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの糖鎖合成酵素(CSGaINAc-T1)のノックアウトマウスにおける癌細胞移植実験モデルを用いてリンパ節転移有無、リンパ節転移巣におけるS1P産生酵素活性化を免疫組織化学で解析中である。胆管癌外科切除例70例および膵癌50例を対象として、原発巣におけるS1P産生酵素活性化を免疫組織化学(pSphK1抗体)で評価し、リンパ節転移および手術成績との関連性に関して実験継続中である。 上記の研究を通じて、「癌細胞より放出されたS1Pが、パラクライン効果でリンパ管内皮細胞のSphK1を活性化し、リンパ管新生を促し、オートクライン・パラクライン効果で癌細胞のS1P受容体を刺激し、癌の浸潤・転移能を促進している」という知見が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題研究A、B、Eは、計画通り順調に進んでいる。課題研究C、Dに関しては現在評価中であり、今後、追加実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
課題研究C Extracellular matrix 細胞外基質におけるS1P の生理的役割(in vivo):コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの糖鎖合成酵素(CSGaINAc-T1)のノックアウトマウスは、コンドロイチン硫酸の発現抑制に伴いヘパラン硫酸の発現が相対的に亢進しており、細胞外マトリックスの変化を研究できる稀有なモデルである。このCSGaINAc-T1 ノックアウトマウスにB/6系wild膵癌移植実験を行う。宿主側の細胞外基質が、癌のS1Pシグナルに与える影響、癌の浸潤能、リンパ管新生能に与える影響を明らかにする。課題研究D リンパ管浸潤をきたした癌細胞の生存に関わるスフィンゴシンキナーゼの役割(Human sample):臨床検体を用いてリンパ管浸潤部のSphK1 のリン酸化とKi67 による細胞増殖能を評価し、リンパ管浸潤をきたした癌細胞の生存に関わるS1P の臨床的意義を明らかにする。課題研究E リンパ節転移におけるS1P およびpSphK1 発現の臨床的意義(in vivo & human sample)を解明する。
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