研究課題
本研究では、がん細胞がVEGF/VEGF-R分子標的阻害薬を感知する分子基盤と、これら分子標的薬により活性化されるがん細胞の「適応プログラム」を解明し、このプログラムによるがん細胞悪性化のメカニズムを全容解明する。さらにその成果に基づいて、がん細胞をだます方法の確立を目的とする。本年度に実施した研究の成果は以下である。まず、平成27年度内に完了できなかった課題(VEGF以外の血管新生因子受容体を阻害した時の腫瘍細胞遊走能の活性化)について解析を進め、がん細胞に発現するFGF-R、PDGF-R、TGFb-R、cMet、Tie-2を阻害しても腫瘍細胞遊走能の活性化は誘導されないことを見出した。次に、がん細胞のVEGFシステムの破綻を感知する分子基盤について、細胞膜受容体レベルで検討した結果、3種類の増殖因子受容体が感知を担っていることを同定した。これら受容体の細胞内シグナル伝達を解析し、cAblとp130Casが中核分子であることを明らかにした。この成果に基づき、感知受容体群を阻害できる化合物を探索し、2つの有効な低分子化合物を見出した(特許申請準備中)。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度に計画していた全ての研究課題を達成できた。
研究課題の今後の推進方策については、当初予定通り、これまでの検討で見出したVEGF/VEGF-R分子標的阻害薬によって誘導されるノンコーディングRNA(VEGF-ncRNA, VEGFR1-ncRNA)を介したがん細胞の適応メカニズムの解明について、これらノンコーディングRNAの標的mRNAの同定と機能解析を重点的に検討する予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
J. Nutr. Sci. Vitaminol.
巻: 62 ページ: 32-39
10.3177/jnsv.62.32.
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 472 ページ: 108-113
10.1016/j.bbrc.2016.02.075.
Arch Biochem Biophys.
巻: 594 ページ: 1-7
10.1016/j.abb.2016.02.014.