研究課題/領域番号 |
15H04932
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
調 憲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264025)
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研究分担者 |
山下 洋市 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (00404070)
川中 博文 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10363334)
下田 慎治 九州大学, 大学病院, 講師 (30279319)
成松 久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40129581)
久野 敦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50302287)
池田 哲夫 九州大学, 大学病院, 准教授 (60585701)
前原 喜彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80165662)
吉住 朋晴 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80363373)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
佐藤 隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (90371046)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肝星細胞 / マクロファージ / WFA-M2BP / Galactin 3 / 肝実質細胞 / 分離培養 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト検体を用いてマクロファージと肝星細胞の分子機能解析を推進し、WFA-M2BP・galectin-3の肝線維化における役割を分子レベルで解明することで、マクロファージ・肝星細胞の線維化における相互関係を明らかにし、肝線維化抑制を治療のターゲットとした革新的な肝線維化治療を開発することを目標とする。 ①ヒト肝硬変患者の肝組織におけるWFA-M2BPの局在の検討(免疫組織化学染色)現在、抗WFA、M2BP、CD68、α-SMA、galactin-3 CD31, CK19, gal-3, CSF1R, CD163抗体を用いた蛍光多重免疫組織化学染色の手法は確立している。 ②ヒト肝硬変患者の肝組織から単離した肝星細胞によるWFA-M2BPの発現の検討・WFA-M2BPによるマクロファージへの作用の検討:ヒト肝組織からのマクロファージ、肝星細胞などの分離、精製の手技は確立している。これらの細胞の共培養を行うことで生体内のマクロファージ、星細胞の連関を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
われわれはまず肝線維化マーカーとして報告されたWFA-M2BPを産生する細胞を同定した。その結果、肝星細胞の培養上清中にWFA-M2BPは検出された。内皮細胞、胆管上皮、マクロファージには産生を認めなかった。また、その産生はmRNAレベルでも星細胞に確認された。しかしながらcell lysateには認めず、さらに細胞免疫組織化学染色でも同定できなかったが、Brefeldin Aによる蛋白分泌を抑制するとWFA-M2BPは肝星細胞に染色された。したがって、WFA-M2BPは肝星細胞で産生され、高率に分泌されていることが示された。 肝硬変組織を蛍光抗体法染色したところ、抗WFA抗体、抗M2BP抗体による二重染色では肝硬変の線維化の進行にともなって陽性細胞は増加した。その局在を検討する目的でα-SMA、CD68抗体で染色を行ったところ、CD68陽性細胞、マクロファージとWFA-M2BPの局在は一致した。さらにgalectin3の抗体で染色したところその局在は一致した。galectin3はM2BPのレセプターとして機能することが報告されており、WFA-M2BPを介した星細胞とマクロファージの連関の存在を示唆する所見と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の仮説を検証することを目的とする。すなわち、その仮説は肝星細胞はマクロファージの活性化を促し、さらにその結果、肝星細胞はさらに活性化されるという線維化のスパイラルが存在し、その連関にWFA-M2BPが重要な役割を果たしているというものである。 マクロファージやT細胞など肝臓の炎症や線維化に関与していると報告されている細胞との肝星細胞の連関におけるWFA-M2BPの役割を明らかにするためにin vitroにおける以下の検討を行う。肝星細胞やマクロファージ、さらにT細胞培養系にWFA-M2BPを添加し、その生理活性を明らかにする。M2BPとの競合阻害を示すラクトースを添加することによる変化を検討する。また、肝星細胞とマクロファージとの共培養を行い、その活性化状況を検討する。肝星細胞にM2BPのsiRNAを用いてWFA-M2BPの産生を抑制し、マクロファージとの共培養での検討を行う。
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