研究課題
これまでの研究で胃癌細胞が分泌するexosomeが腹膜中皮細胞に取り込まれ、FN1やLAMC1といった接着因子の発現を亢進させ、胃癌細胞と腹膜細胞の接着能が促進されることを、中皮細胞と胃癌細胞を用いたadhesion assay、接着関連PCR arrayによる検討で確認し、さらに胸膜播種による悪性胸水や手術で摘出した腹膜などの臨床検体を用いた検討で再確認した。その成果を論文発表するに至った。(Arita T, Otsuji E et al. Oncotarget. 2016)これまで得られた知見を元に、腹水中のexosomeを阻害することで腹膜播種進展を阻害する臨床応用に向けた検討を行っている。①分泌抑制、②物理的阻害・除去、③取り込み阻害に注目した。①exosome分泌促進作用を有するsnMASE2をsmall interfering RNA(siRNA)で阻害した。現在siRNAのノックダウン効率について検討中であるが、今後、癌細胞株の進展について接着、浸潤、遊走等の細胞機能アッセイでsiRNAによる変化の観察評価を行う予定としている。②exosomeのrecipient細胞による取り込みについて、12時間で十分に取り込まれることを確認した。そこで、3-6時間毎に細胞培養液を超遠心し、癌細胞由来exosomeを除去したものに交換することで起こる癌の進展変化について現在proliferation assayにて評価中である。また、変化をもたらす責任分子の同定をmicroarray(東レ・Agilent社)で網羅的解析を行う予定としている。③exosomeはエンドサイトーシスにより取り込まれるため、エンドサイトーシス阻害作用を有するサイトカラシンD(Abcam社)でMeT-5Aを処理し、癌細胞と腹膜細胞の接着能の変化について検討する予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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