研究課題/領域番号 |
15H04939
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
濱野 公一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60263787)
|
研究分担者 |
森景 則保 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50335741)
細山 徹 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20638803)
上野 耕司 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30736070)
李 桃生 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50379997)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 難治性皮膚潰瘍 / 細胞シート / 中型動物モデル |
研究実績の概要 |
難治性皮膚潰瘍は国内約130万人以上で罹患しており、超高齢化社会化により患者数は今後も右肩上がりで上昇するものと予想される。本疾患は、糖尿病や褥瘡、閉塞性動脈硬化症に伴って生じるものであり、患部血流がなく、また感染を起こしているケースも多い。その為、人工真皮などでは対応できず、現状は効果的な治療法がない。本研究では、患部での長期生存を可能にする細胞シート技術を応用して、難治性皮膚潰瘍に対する新規治療法の開発を目指している。 平成27年度は、ウサギの耳から採取した線維芽細胞と末梢血から単離した単核球細胞を混合して細胞シートが作製し得るか否かの検証を行い、さらに、作製したウサギ細胞混合シートの機能賦活化の検討を行った。結果、ウサギ細胞混合シートの作製および低酸素処理によるシートの機能賦活化に成功した。さらに、機能賦活化したウサギ細胞混合シートを皮膚全層欠損モデルへ自家移植し、組織再生、血管新生、血流回復、などのパラメータで治療効果を検証したところ、極めて良好な治療効果を得た。また、皮膚損傷の既存薬であるフィブラストスプレー(科研製薬)との治療効果の比較を行ったところ、驚くべきことに、細胞混合シート移植群において最も高い治療効果を得た。平成28年度は、治癒過程の詳細な検証を行い、本法の有効性・有用性について実証していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画は、ウサギからの細胞混合シートの作製とその細胞機能の検証、機能賦活化法の確立、ウサギ皮膚全層欠損モデルへの自家移植による治療効果の実証、などであり、これらはおおむね順調に進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、引き続きウサギ皮膚全層欠損モデルへの自家移植実験を行い、治癒効果の詳細な検証を行う。具体的には、免疫組織化学や遺伝子発現解析などを実施することで、細胞シート移植群における通常の創傷治癒(皮膚再生)過程との違いについて検証し、実用化へ向けた足掛かりとする。
|