研究課題
下記の研究成果を国内外で報告し、一部を論文化した。I) ラット再生肺は移植後数時間でその機能を廃絶してしまい、その原因として、血管の未熟さが考えられている。ラット脱細胞化肺に脂肪由来幹細胞と血管内皮細胞を生着させ、より成熟した血管網を持つ肺を作成した。ラット脱細胞化肺に脂肪由来幹細胞と血管内皮細胞を生着させたところ、脂肪由来幹細胞は、生着後周皮細胞への分化を示した。またその再生肺をラットに同所移植したところ、移植後の肺胞内出血は減少した。また、脂肪由来幹細胞群では、内皮細胞のみで再細胞化した群に比べ、培養16日目での内皮細胞の減少は優位に軽減していた(Doi e al. Scientific Rep. 2017)。II) 一般に動物が持つマトリックス内糖蛋白のα-galは、ヒトへの移植後に免疫反応を引き起こすことが知られている。このα-galの脱細胞化組織での減少、およびヒト細胞による再細胞化によってα-galがさらに減少するかを確認した。ラット脱細胞化組織骨格内では、ECMを構成するGAGはほぼ消失するが、再細胞化によって増加し、特に脂肪由来幹細胞を投与した群で増加した。Western blotによる肺内糖鎖抗原α-gal抗原は脱細胞化によって著明に減少し、ブタ脱細胞化組織骨格内では明らかに残存していた(論文投稿中)。III)異種組織骨格-気管移植;ブタから採取した異種脱細胞化組織骨格をラットの自己間葉系幹細胞で再細胞化し、ラットへ気管移植し、その免疫反応を解析した。ブタ脱細胞気管支骨格自体の免疫反応は、脱細胞を行っていないブタ気管支にくらべ、肉眼的に有意に免疫反応は少なかった。また脂肪由来幹細胞投与群において、CD8陽性T細胞が減少し、免疫抑制系に作用するCD163陽性M2マクロファージが増加していた(論文作成中)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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