研究課題/領域番号 |
15H04947
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高野 晋吾 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50292553)
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研究分担者 |
加藤 幸成 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00571811)
久保田 義顕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50348687)
山下 年晴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50400677)
依馬 正次 滋賀医科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60359578)
松田 和郎 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定講師 (80444446)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経血管ワイアリング / 神経膠腫 / slit2 / 血管新生 / 免疫組織化学 / RT-PCR解析 / western解析 |
研究実績の概要 |
1.Slit2のグリオーマ組織における発現と機能 (1)グリオーマのパラフィン切片でSlit2およびSlit3、さらにそれらの受容体であるRobo1およびRobo4の免疫染色を行った。 Slit2はグリオーマ腫瘍細胞の細胞質に明瞭な発現がみられた。Grade IIグリオーマ(22%)に比べて、膠芽腫(60%)で有意に発現が高かった。Slit2はグリオーマの進展に関係する分子である。一方、受容体であるRobo1およびRobo4ともに染色性が得られなかった。抗体の種類、染色の方法を変えても染色性が得られなかった。(2)膠芽腫でのslit2陽性群と陰性群の間に生物学的、臨床的差異があるかどうかを検討した。両群間で生存率に差は無かったが、血管密度、HIF1αおよびpAkt発現が陽性群で有意に高かった。Slit2は膠芽腫の血管新生に関与する分子である。3)膠芽腫では浸潤細胞を明瞭にとらえ、腫瘍血管周囲に分布しており、slit2は膠芽腫において神経血管ワイアリング分子としての機能が推測された。 2.膠芽腫細胞のSlit2発現調節による血管新生能の変化 (1)ヒト膠芽腫腫瘍細胞(4種類)およびヒト血管内皮細胞におけるSlit2及び受容体の発現を、RT-PCRで評価した。膠芽腫細胞ではSlit2およびRobo1のmRNA発現が見られた。一方、内皮細胞ではSlit2, slit3の発現はなく、Robo1, Robo4の発現がみられた。(2)膠芽腫細胞のSlit2蛋白発現はcell lystaeおよび培養上清にみられた。 3.結語:以上よりSlit2は膠芽腫の血管新生に促進的に作用し、神経血管ワイアリング分子の抑制による膠芽腫増殖抑制が考案される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
神経膠腫の組織切片での神経血管ワイアリング分子の染色では、slit2の発現が悪性どの高い神経膠腫でみられた。その受容体分子の発現をとらえることができずに、計画が遅れた。
一方、神経膠腫細胞を使った神経血管ワイアリング分子の発現は検出できた。しかしながら、その分子をsiRNAノックダウンする発現抑止絵実験がうまくゆかず、計画が遅れた。
以上の遅れの分を来年度に予算を繰り越して行うことにした。
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今後の研究の推進方策 |
標的とする神経血管ワイアリング分子の同定ができたので、実験計画の方向性は間違っていないと判断した。
来年度以降、今年度の積み残しの実験を行うとともに、標的分子を抑制する実験を加えて研究を進めてゆく。
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