研究課題
神経膠腫における神経血管ワイアリングの異常を検出すること、およびこの異常な神経血管ワイアリングを修復することにより、神経膠腫の異常血管網を正常化する新概念の血管新生抑制療法の基盤を形成する。これまでの3年間の研究で、神経血管ワイアリング分子のうち、Slit2が神経膠腫の血管新生、特にVEGF非依存性血管新生に促進的に作用することを、神経膠腫細胞と組織を用いて明らかにしてきた。神経膠腫由来のSlit2による血管新生作用は、Slit2抗体およびsiRNAによるslit2ノックダウンで抑制され、AktおよびMAPKシグナルの関与が示唆された。今年度はslit2抑制剤に注目した。これまでの研究から、血管新生抑制だけでは、神経膠腫内の低酸素領域の出現を完全に抑制できず、神経膠腫の増大抑制が不十分であった。そこで、低酸素領域に強く関係して、slit2の発現にも密接な関係がある低酸素誘導因子(HIF-1α)の抑制に注目した。Slit2抑制剤としてlenalidomide、HIF-1α抑制剤としてchetominを用いて膠芽腫細胞で以下が明らかにされた。1)低酸素によりslit2発現の上昇は見られなかった。2)lenalidomideでslit2 mRNA発現抑制がみられた。3)chetominが増殖を抑制し、低酸素状態で抑制効果が強かった。4)chetominでHIF-1α mRNA発現は変化がないが、蛋白発現は抑制された。現在、膠芽腫動物モデルでlenalidomideおよびchetomiによるslit2抑制効果、低酸素領域の抑制効果、増殖抑制効果を解析中である。結語:神経血管ワイアリング分子、Slit2の抑制に加えて、HIF-1αの抑制の併用による神経膠腫増殖抑制効果が期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
髄芽腫におけるBAI1プロモーターサイトのDNAメチル化解析(筑波大学附属病院、臨床研究番号(H27-74)
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