研究課題
脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血を発症し、致死的な状態を引き起こすが、現在、有効な薬物治療は開発されていない。これまでの研究で血行動態変化、卵巣摘出の雌性ラットにおいては塩分負荷によって、血圧に影響なく、動脈瘤形成頻度が上昇することを報告し、このメカニズムとして体内に貯留されるwater-free Naの蓄積が関係することを明らかにした(Matsushita et al.,Hypertension. 2012)。この脳動脈瘤モデルに高血圧を誘導すると、動物においてもヒトの脳動脈瘤の好発部位である前交通動脈(AcomA)や後交通動脈領域(P-comA)の血管壁で脳動脈瘤の増大および破裂が見られ, さらに血液動態負荷をかけるとヒトに類似部位の破裂頻度が再現性良く増加する薬効評価が可能な動脈瘤破裂モデルを開発した(J Cereb Blood Flow Metab. 2016)。本モデルを用いた作用機序の異なる薬物(降圧剤およびエストロゲン受容体調節薬)の薬効評価を行い、有効性を確認後、作用機序の解析を行っている。一方、臨床研究において未破裂脳動脈瘤を有する患者に対する薬物療法の臨床応用の可能性を検討するため、降圧剤を用いて高血圧症例の未破裂脳動脈瘤患者に対しての有効性を解析中である。また歯周病と脳動脈瘤との関連性について検討中である。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)脳血管研究センターおよびトロント大学キーナン研究センターとの共同研究は継続しており、年1-2回の合同会議を開催して、研究に対する意見交換を行い、若手研究者の育成にも努めている。
2: おおむね順調に進展している
独自に確立した脳動脈瘤破裂モデルを用いて、病態の解明および薬物投与による破裂与簿の可能性を評価中である。また治療標的分子の解明に向けて前臨床試験で検証を行っている。さらに、降圧症例の未破裂動脈瘤患者に対して降圧薬によるパイロット試験を実施中である。
破裂の病態を解明し、破裂予防の治療標的を同定するため作用機序の異なる薬物療法による検討を行う。成果発表のため、国際学会参加や英文雑誌への投稿・掲載に努める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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