研究課題
脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血を発症し致死的な状態を引き起こすが、現在、有効な薬物治療は開発されていない。これまでの研究で血行動態変化、卵巣摘出の雌性ラットにおいては塩分負荷によって、血圧に影響なく動脈瘤形成頻度が上昇することを報告し、このメカニズムとして体内に貯留されるwater-free Naの蓄積が関係することを明らかにした(Matsushita et al.,Hypertension. 2012)。この脳動脈瘤モデルに高血圧を誘導すると動物においてもヒトの脳動脈瘤の好発部位である前交通動脈(AcomA)や後交通動脈領域(P-comA)の血管壁で脳動脈瘤の増大および破裂が見られ, さらに血液動態負荷をかけるとヒトに類似部位の破裂頻度が再現性良く増加する薬効評価が可能な動脈瘤破裂モデルを開発した(J Cereb Blood Flow Metab. 2016)。本モデルを用いた作用機序の異なる薬物(降圧剤及びエストロゲン受容体調節薬)の薬効評価を行い、有効性を確認後作用機序の解析を行い論文化した(J Neuroinflammation. 2017)。一方、臨床研究において未破裂脳動脈瘤を有する患者に対する薬物療法の臨床応用の可能性を検討するため、降圧剤を用いて高血圧症例の未破裂脳動脈瘤患者に対しての有効性を解析し、初めて9㎜以下の未破裂脳動脈瘤に対する薬物療法の有効性を論文にまとめるに至った(Nagahiro S, らJ Stroke Cerebrovasc Dis. 2018)。現在、歯周病と脳動脈瘤との関連性について解析中である。これまで米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)脳血管研究センターおよびトロント大学キーナン研究センターとの共同研究を継続していたが、優れた研究者らがBarrow Neurological Instituteに異動したため、今後は当該施設との共同研究を継続し、引き続き若手研究者の育成に努める。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Stroke Cerebrovasc Dis
巻: - ページ: -
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2018.03.008.
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2018.01.031
10.1016/j.wneu.2017.12.152
Transl Stroke Res
10.1007/s12975-017-0577-8
J Neuroinflammation
巻: 14 ページ: 197-204
10.1186/s12974-017-0966-7